著者:佐々木 能成
ページ数:762

¥850¥0

◎本書の目的
※第2版(第10章「学習制御と従来制御の比較」を追加しました。2021/2/1)
深層学習(ディープ・ラーニング)の学習能力の高さや柔軟性を制御に適用することが本書の目的です。
制御の分野では、物体の速度や位置から温度や圧力まで世の中の様々な物理量を制御するために、PID制御や適応制御など多くの制御手法が考案されています。しかし、柔軟で誰もが使えるような汎用的な制御の実現に十分に答えられているとは言えないでしょう。制御対象の様々な変化に対応して望む値に物理量を制御することは、予想以上に複雑で困難なものです。制御対象の挙動が不明確であったり調整が困難であったりと多くの労力と時間、エネルギーが費やされています。

一方、深層学習は種々の応用分野で実用化され、その成果に注目が集まっています。そして、深層学習がもたらす学習能力は制御の分野にも活用することができます。本書は深層学習を制御に適用して、制御の課題を少しでも軽減し、制御を容易にかつ高度化する手段として「学習制御」を提供しています。

学習制御の大きなメリットは2点あります。
最初のポイントは、ニューラルネットワークの学習能力により、どのような制御対象でも「ブラックボックス的な扱いによる制御が可能になる」点です。このメリットは非常に大きく、従来、解析的な取り扱いが困難であった多くの制御対象に有効な制御手法を与えることになります。

学習制御のもう一つの重要なポイントは、「制御対象の軌道を直接的に与えることができる」点です。従来の制御が与えていた目標値はその名の示すようにあくまでも目標値であって、最終的な軌道ではありません。目標値を与えることによってあたかも厳密な指令を行っているかのような錯覚に陥っています。制御系に与えられる目標値は実は参照値にすぎなく、与えられた目標値は補償要素や機械系の非線形性によって期待している軌跡になるとは限らないのです。

学習制御では最終的な軌跡を明示的に設定することができ、ニューラルネットワークの学習能力により、物理的な制約の範囲内で極限まで誤差が少なくなるように制御されます。言い換えれば、このように動かしたいという所望の動作を与えれば、「学習により」そのように制御されるということを意味します。

本書で目指す最終的な形体は、学習制御を行うために、ニューラルネットワークの原理や機能を理解し、読者が想定する制御対象を深層学習で学習するニューラルネットワークをJava言語を用いて制御プログラムとして実装することです。もちろん紙面の制約がある本書の範囲内では限られた制御対象と実装例しか紹介できません。しかし、本書は制御理論の基礎と深層学習の基本を分かり易くかつ簡潔に解説し、Java言語による具体的な実装例を掲載しています。本書をジャンプ台として、読者自らが自身の課題に挑戦していただけることを願っています。

◎本書の目次
序章 前書き・本書の構成

第1章 単層ニューラルネットワーク
 1.1 ニューロンのモデル化
 1.2 疑似ニューロンの実装
 1.3 学習処理の流れ
 1.4 疑似ニューロンの実行
 1.5 論理演算の学習結果
 コラム1.1 内積
 コラム1.2 微分、偏微分、勾配
 コラム1.3 勾配降下法
 コラム1.4 論理演算
 コラム1.5 実行速度の調整

第2章 回帰問題
 2.1 曲線の推定
 2.2 回帰ニューラルネットワークの実装
 2.3 学習処理の流れ
 2.4 学習の実行
 2.5 曲線の推定の学習結果
 コラム2.1 活性化関数
 コラム2.2 活性化関数の宣言と呼出
 コラム2.3 勾配降下法の宣言と呼出
 コラム2.4 初期化ファイル

第3章 物体の運動と制御
 3.1 物体の運動を表す変数
 3.2 力による制御
 3.3 オープンループ制御
 3.4 シミュレーション
 コラム3.1 力と加速度、速度、位置の単位

第4章 フィードバック制御と摩擦
 4.1 フィードバック制御
 4.2 摩擦のある制御対象
 4.3 PID制御
 コラム4.1 制御対象のシミュレーション

第5章 逆関数の学習
 5.1 逆関数の働きと学習の仕組み
 5.2 逆関数ニューラルネットワークの実装
 5.3 逆関数の学習
 5.4 学習の実行
 5.5 ランプ応答の逆関数
 5.6 入力に速度を加えた逆関数

第6章 外乱への適応性の検証
 6.1 質量の変動
 6.2 学習と検証の流れ
 6.3 学習と検証の実行
 6.4 外乱への適応能力

第7章 仮想制御対象
 7.1 制御対象の動作データの収集
 7.2 制御対象を学習
 7.3 仮想制御対象の実行

第8章 仮想制御対象よる学習
 8.1 学習制御器の実装
 8.2 学習制御器の実行
 8.3 学習制御器の検証

第9章 制御対象のパラメータ変動
 9.1 速度制御器
 9.2 質量が変動する制御対象

第10章 学習制御と従来制御の比較
 10.1 速度の目標経路
 10.2 目標経路制御の実装
 10.3 目標経路制御の実行

付録 Java深層学習構築環境(DaiJa Ver.3, 学習制御用)

付録A DaiJaの使い方
 A.1 Java実行環境
 A.2 DaiJaプロジェクトのダウンロード
 A.3 ニューラルネットワークの起動方法
 A.4 GUIの機能と操作
 コラムA3.1 環境変数の設定

付録B DaiJaの構造
 B.1 プログラム開発環境
 (1)Eclipseのインストール
 (2)NetBeansのインストール
 B.2 DaiJaプロジェクトを開く
 B.3 DaiJaプロジェクト・フォルダの構成
 B.4 ニューラルネットワークの実行
 B.5 ビューワの起動

付録C DaiJaのソースコード(抜粋)

以上

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