著者:北野 玲
ページ数:55

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「日常世界の暗黒面、魔の闇へようこそ」
◆世界初のホテル型ウェブマガジン「ホテル暴風雨」。その創業時から1666室に住みつき、毎週金曜日になると奇怪な話を語る特異な客がいる。それが「魔談」。この「魔談特選2」では「魔談」連載から「魔の貸家/魔のバイト/魔の虫/魔の冬山/走魔灯」の5作品をセレクトして収録。いずれも2016年後半から2017年初頭にかけて「ホテル暴風雨」で連載した作品を改めて見直し、加筆したい部分は存分に書いて1冊の本にまとめた。「ホテル暴風雨」公開時とはまた一味違う「魔の香」をより深く味わっていただけるものと確信している。

(本文「走魔灯」より)一般的に走馬灯はその名のとおり「疾走する馬」の図柄が、最も正しい走馬灯というべきである。しかしその「馬」を「魔」にとっかえてしまった以上、馬を出すわけにはいかない。ではなにを出せば「魔」となるのか。これは非常に悩ましい制作課題となった。「走る悪魔」という案が浮かんだ。しかしこれは絵柄としては面白いかもしれないが、コンセプトとしては安易であると言わざるをえない。「魔」イコール「悪魔」ではないからだ。「魔談」シリーズの「悪魔談」でも触れているが、悪魔とはキリスト教の産物であって、「魔」という広大無辺の暗黒フィールドから見れば、そのごく一部で暗躍しているにすぎない。ではどうするのか。――

【 北野玲プロフィール 】
● 1956年生まれ。京都市出身。京都府立・嵯峨野高校卒業。東京学芸大学・教育学部・美術工芸学科卒業。2社の広告代理店・制作部デザイナーを経てフリーランス。
● 1996年、「フェアリーナッツ」(ファンタジー小説)が教育総研ファンタジー大賞・優秀賞。出版化。その後、「わたし、捨て犬と出会う」「わたし、捨て犬と出会う2」「わたし、菜食と出会う」「わたし、ヴィーガンと出会う」の4冊のルポルタージュ本を発行。
● 2016年、かねてから計画していた「60になったら山奥に隠遁」を実行。岐阜市から岐阜県加茂郡八百津町福地(標高650m)に移住。地域おこし活動に協力。清貧、山村画家、豊かな精神生活……そうしたライフスタイルを模索している。
● ビジュアル系の同人冊子「RAT」を偶数月に発行している。山村での移住生活を綴った個人発行冊子「北野通信」を奇数月に発行している。2輪愛好家。隔週で山を降りて岐阜市まで出向き、岐阜中日文化センターで「水彩色鉛筆」講師をしている。

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