【無料で読める】ひと粒の涙: A Drop of Tears

妻の9年間の癌との闘病生活に寄り添って生きて来た主人公・達也の心が映し出した世界を描く。
神の存在を意識すれど現実の世界で起こる事象との乖離に疑問を持ち、葛藤を続ける達也の内なる神との対話が興味深い。
妻が亡くなる最後の4年間、達也の眼（心の眼）を通して物語が展開して行く。
命に向き合い、生きることの意味を必死に自問自答しながら、そして、妻に寄り添いながら過ごした4年間の日々を赤裸々に描いたある小さな愛の物語。
最後に、主人公の達也が受け取ったものは？
達也が大事なものを受け取った後のことは、この物語には書かれてはいない。今、「風の時代」と言われているが、達也の妻は風のように大空を吹き渡って大きな愛で、愛する者たちを見守り導いてくれているのだろうか？
読者はきっと、読後、この物語のその後が知りたくなるに違いない。