著者:川口 暁弘
ページ数:45

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大学一年生向けの教養講義を書籍化しました。高校で日本史を学んだ学生も、そうでない学生も、予備知識の有無を問わず理解できる内容をめざしています。
 今回は、第四回講義として日清日露戦争と戦後民主化についてお話しします。
 戦後民主主義は第二次大戦後だけの現象ではありません。戦争は社会をかえます。国民をつくります。そして民主化を促進します。日清戦争と日露戦争の戦後にも民主化がおこりました。なぜこのようなことがおこるのか、順に説明していきます。
 日清戦争は、官民調和をもたらしました。戦後民主化は藩閥と民党の連立政権としてあらわれました。政党が政権に参画するようになったのです。また日清戦後の工業化推進にともなう予算膨張に対処するため、あたらしい直接国税が登場します。あらたに課税対象となった人々が日露戦争時の大増税によってあたらしい有権者となるのです。
 日露戦争は大規模増税による有権者数の増大をもたらしました。当時の選挙権が直接国税の納税額によってあたえられるために生じた現象です。政党の勢力はますます増大して、政友会は山縣閥と政界を二分する大勢力に成長します。桂園体制の到来です。
 日露戦後の民主化はおおきな宿題をのこしました。普通選挙の実現です。命がけでたたかった兵士のおおくは、戦時増税による参政権獲得のしくみからはずれた人々だったからです。

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