著者:寺澤伸洋
ページ数:165

¥880¥0

※本書は追記してボリューム2倍にした上で書籍化されました!

僕は40歳の時にGAFAのうちの1社にシニアマネージャー(部長)として転職をしました。
この会社の中で求められるものはロジカルさ、論理力、分析力、行動力、人を動かす力などのハイレベルなスキルセットでした。

これらのスキルは前職に17年在籍していた間に学び、身に着けたことが非常に大きかったのですが、その17年間の中で最も僕が成長したのは20代半ばから30代前半に経営企画本部、特にそこの本部長だったNさんに直接教えをいただいていた時だったのです。

Nさんはものすごく話し好き、教え好きで、毎日仕事中に部下である僕ともう1人の女性をホワイトボードの前に呼んではロジカルシンキングについて何時間も話してくれました。
「美味しいカレーを作るには何が必要か要素分解してみて」、「『ジャンクフードは肥満になる』と同じくらい論理の飛躍だよ。」などNさんは数々の名言を残され、僕達はその時の言葉をずっと心に刻みながら十数年仕事をしてきたのです。

今でこそロジカルシンキング、地頭力などといった言葉が世に広まっていますが、当時はまだ2002年。ロジカルシンキングという言葉はあったもののそれはコンサルの人達の言葉で、周りの人の反応もみんな「ふーん、理屈っぽいね」といった感じでした。

でもNさんに教えてもらっていた僕達2人だけは違いました。目を輝かせてNさんの話を聞き、どうすればそんなに美しいロジックツリーを描けるのか、どうすればそんなに抜け漏れなくMECEに物事を要素分解出来るのかに魅せられ、自分たちの仕事にどう応用出来るかについて日々語り合いました。

ちなみに当時僕は1999年に大学を卒業して4年目、一緒にいた女性はピカピカ1年目の新入社員。まだ社会人に染まりきっていない段階でこうした「物事の考え方」を教えてくれるメンターに出会えたというのは、僕達の人生にとってものすごく価値のあることでした。

怒ったり怒鳴ったりして人に仕事をさせるのではなく、まず仕事を始める前に立ち止まって適切に考える習慣をつけさせ、「考えることを楽しいと感じることが仕事を始めるのに1番大事なことだ」と若かりし僕達に教えてくれたNさんは、マネジメントとしても本当に素晴らしい方だったと思います。

ただ、それはそれほど簡単なことではなく、それなりに苦労がありました。

「Nさんの言ってることが全く分かりません」
「出来なすぎて、考えるということが何なのか分からなくなってきました。」なんてヘコたれることもありました。

「我々経営企画室は考えるのが仕事だ」と言われて、考えようとしてるんだけど何をしたら考えてることになるんだっけ?と悩み、結局何もアウトプットを出せない空白の時間を過ごしてしまったこともありました。

そんな中、25歳の僕はNさんに「僕はいつかNさんの語録をまとめた本を出しますよ!」って約束したのです。

「絶対売れますよ!だってNさんの話のおかげで僕らがこの歳でこれだけの考え方ができるようになったんですから!この話をもっともっと若い人に伝えていかないともったいないですよ!」

そう、今の僕があるのは20代半ばにNさんの話を聞いて実践してきたからだというのは紛れもない事実。ですから僕は20代からNさんから教わったことを全て本に詰め込んで、色んな人、特に若い人に伝えたいという思いを持っており、いつか絶対に形にしたいと思っていました。

でも当時は自費出版で本を出そうとしたら百万円くらいお金がかかる時代で、どうしようも無かったんですよね。
しかし時は流れて、パソコンさえあれば個人でもアマゾンで簡単に本を出すことが出来るような時代になったのです!

「20年もかかってしまったけれども、これでようやくNさんとの約束が果たせる!ようやく僕がNさんから受けた経験を色んな人に伝えることが出来る!」そう思うと胸が高鳴り、筆をとりました。

今から振り返っても、この20代にNさんから学んだ考え方は40歳を過ぎても全く色褪せずに使える素晴らしいものです。
本書が皆様の考え方、視点を変える一助になれば幸いです。

◆本書の構成◆
はじめに
目次
第1章:考えるということ
 その1:美味しいカレーの作り方
 その2:「考える」とは「要素分解」すること
 その3:要素分解で意識すべき3つのこと
 その4:抜け漏れの少ない要素分解のやり方
 その5:悩むな、考えろ
 その6:ロジカルであれば、記憶力はいらない
 その7:思考はまずA3の紙に鉛筆で 
 その8:話の粒感を揃えよう
 その9:センスは知識によって磨かれる
 その10:ボックス思考で考えよう

第2章:人に伝えるということ
 その11:ポイントを押さえて話す
 その12:論理の飛躍をなくす
 その13:比喩は伝達のための最高の道具
 その14:話し方も大切
 その15:気づきは高度な教育
 その16:魚の釣り方を教えよう

第3章:会議の進め方
 その17:会議とは、何かを決める場所
 その18:決定するために誰を呼ぶべきか
 その19:目的によって行動が変わる
 その20:みんな会議の途中で目的を見失う
 その21:議事録は自分を守る
 その22:山手線に乗ってると感じたら降りよう
 その23:会議の準備にキレイな資料はいらない
 その24:複数部門にまたがる課題は分解する
 その25:ファシリテーションのコツ
 その26:ホワイトボードに目的を書こう
 その27:フローを書く時のコツ
 その28:目的目標範囲体制スケジュール

第4章:Nさんの仕事進め方
 その29:とにかくホワイトボードに書く
 その30:メールを見ない
 その31:色んな部署に散歩にいく
 その32:人に仕事を頼む時は背景を全て話す
 その33:怒りでマネジメントをしない
 その34:完璧さよりスピード重視

あとがき

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