著者:田中 恵美子
ページ数:105

¥1,200¥0

障害はどこにあるのか?
希望をつむぐ「障害学」入門。

すべては出会いからはじまった。
“ふつうの会社員”であった著者は、障害のある人との出会いによって、
障害学の研究者への道を歩むことになる。
その研究手法は、人との出会いと取材に貫かれている。
ALS患者嘱託殺人事件をめぐって、人工呼吸器ユーザーの葛藤を聞く。
まただれも助けることができずに、水害で逃げ遅れてなくなった
知的障害をもつ母と、その幼い子のこと。
著者は、当事者を取材し、ときに涙しながら、そこにある困難や
人の生き様を綿密に描いていく。
そこから日本の介護制度の問題点、進んでいないインクルーシブ防災、
社会がつくる「障害」の現在が見えてくる。
「障害」とは個に属するのでなく、社会の側に属するという障害学
の考え方が、実例とともに理解されるだろう。

「私は障害のある人たちに社会を見る眼鏡を与えてもらった。
そのレンズを通して見ると、私の周りにあって、もやもやとして
よくわからなかった問題が、はっきりと見えてきた。」(本文より)

すべての生きづらさを抱える人へ。

【目次】
はじめに
1.障害という世界との出会い
(障害のある人と旅で出会う/「特別扱い」という「差別」/障害学との出会い etc.)
2.障害のある人の生活
 (私の中の“偏見”/障害があってもなくても/障害ゆえの「違い」 etc.)
3.ALSと生きる
 (生きる場所はどこにあるのか/在宅生活を地獄から解放するために/人工呼吸器をつけないという選択
 /医療の進歩と医師の裁量 etc.)
4.災害と障害
  (障害者は災害をどう経験するのか①避難所②災害時要援護者名簿/立ち上がる障害者と支援者 etc.) 
5.生きづらさを抱えた人たちへ
(自立生活運動から学んだこと①人生を謳歌する②脱家族
 /自閉症という可能性、IQ18という謎―違いを楽しむ etc.)
おわりに

【著者プロフィール】
田中 恵美子(たなか えみこ)
1968年生まれ。
学習院大学文学部ドイツ文学科卒業後、ドイツ・フランクフルトにて日本企業で働き2年半生活。帰国後、旅行会社に勤務ののち、日本女子大学及び大学院にて社会福祉学を専攻。その間、障害者団体にて介助等経験。
現在、東京家政大学人文学部教育福祉学科にて、社会福祉士養成に携わる。主に障害分野を担当。日本社会福祉学会、障害学会等に所属し、自治体社会福祉審議会委員や自立支援協議会委員等にて障害者計画等に携わる。
研究テーマは、障害者の「自立生活」、知的障害のある親の子育て支援など、社会における障害の理解(障害の社会モデル)を広めることとして、支援者らとともにシンポジウムやワークショップの開催、執筆等を行い、障害者の地域での生活の在り方を模索している。
著書に『障害者の「自立生活」と生活の資源』(生活書院)、共著『人工呼吸器をつけますか』(メディカ出版)、共著『社会福祉への招待』(放送大学教育振興会)、分担執筆『障害者権利条約の実施ー批准後の日本の課題』(信山社)など

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