著者:松井 琢磨
ページ数:113

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 東京都大田区の洗足池の近くに本社を構え、地元密着を標榜して近所の住民から頼りにされている、セダー建設という地場の小さな工務店がある。
 実は地元でもあまり知られていない話であるが、2021年に創業百周年を迎えたセダー建設の歴史は、三代目である若杉雄次会長が、大工の棟梁だった父親の事故をきっかけに30歳という若さで事業を引き継いで、第二の創業を成し遂げたところから始まったのであるが、そこには想像を絶する苦難のドラマがあったのである。
 その父親の背中を見て育った四代目の若杉健志社長は、父が苦労して敷いたレールの上を、実質的な二代目として順調に歩んだように思われるが、実は就職の話から始まって、四代目には四代目なりの、三代目とはまた違った困難な道があり、その壁を乗り越えて地元密着戦略を成功させるまでの波乱のドラマがあったのである。
 昭和の義理人情の世界で育った職人気質の三代目と、大企業のサラリーマンとして効率と合理性を重視する環境でもまれた四代目の、育った時代や環境が全く異なるこの親子の激しい衝突と葛藤、そしてそんな二人を影から支えた妻たちによる、愛と涙の感動の物語。

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