性的嗜好×哲学の詩集: 第７巻

本書は「性的嗜好×哲学」の第７巻です。「性的嗜好」と「哲学」を掛け合わせ、詩の新しい領域を開拓しようとする野心的詩集です。この組み合わせは一見すると異質ですが、そうではありません。性的嗜好は非理性的なものではなく、明晰な思想性があり、精神分析の援用による解釈が可能です。このような性的嗜好は思想や論理の最右翼である哲学と親和性が高いため、詩という同次元のフィールドで化学反応を起こしやすいと言えるのです。それは詩作のしやすさにも通じます。今回は性的嗜好を手段とした社会派の詩がいくつかあります。「身体欠損性愛とリベラリズム」はその代表です。
冒頭に「哲学用語解説」のコーナーを設け、簡単に用語を説明しました。それを読まれてから詩編を読むとより深く味わえるでしょう。
最後に、本シリーズ詩集の参考文献は『性的嗜好大事典』と『哲学用語図鑑』です。

作者：平山 崇（ひらやま たかし）
中国蘇州大学大学院修士課程修了。日本語教育能力検定合格、ＨＳＫ６級、日本心理学会会員。精神病院で心理職に従事した後、中国の黄山学院、中国科学技術大学大学院ソフトウェア学院、蘇州大学等で日本語教育に従事。現在、東京で日本語教師。日本で初めて日本語学校に心理検査とカウンセリングを導入する。
・中国で十九冊の日本語教材を出版。
・代表キンドル作「新☆短編小説を読んで中国語を学ぼう」「北海道開拓史」。
・自身が作詩・作曲・編曲を担当する音楽ユニットRALY＆SMALL FISHを主催し、Amazon Musicなど各種サイトで多数の楽曲を発表。
■ＨＰ：平山崇ＨＰ
■ブログ：賀小魚の中国語PARTY！

目　次
哲学用語解説
音楽と偶然
精液嗜好と兵家
愛液嗜好とクワロマンティック
足垢と動物の権利
乳房装飾と重層的決定
性行為連続性愛と到来／既在
病症愛好と即自存在／対自存在
無毛性愛とリバタリアニズム
キス恐怖症とジェンダー
嘔吐愛好とパノプティコン
金的と全体主義
制服フェチと野生の思考
舌と例外者

サンプル

　愛液嗜好とクワロマンティック

わたしはあなたのことが好きなのでしょうか
わたしは女性であなたも女性
昔ならいざしらず
いまは女性同士が恋愛することも認められる時代です
あなたに恋することにためらいはない
けれども胸を巣くうこの気持ちが
恋愛だとは断言できないのです
かといって友情の絵具で恋のキャンバスに描いても
中間色しか出てきません
※後略