著者:工藤 一紘
ページ数:221

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[商品について]
―反骨の秋田文学、それは小林多喜二だけのものではない―
フィリピン収容所で朝日新聞記者と手書き新聞「曙光新聞」を出した中川利三郎、日本の保守的な慣習をアイロニカルな文体で批判する柏谷正子、『監房細胞』で1930年代の監獄を舞台に獄内メーデー闘争を描いた鈴木清など、秋田には反骨の精神に満ちた民主主義文学の大きな潮流があった――工藤一紘という類い希な読み手が、秋田に縁のある文学者を通じて紡ぎ出す秋田文学の普遍的な可能性と至福の文学論。

[目次]
序にかえて
「秋田・反骨の肖像」を拝見して
第一部 反骨の肖像
中川利三郎 ―戦争・貧乏・不条理の告発
命ここにあらたまる
中川の感性を育んだ土壌
戦争、貧乏、不条理への怒り
無衣無冠したがって清冽
鈴木 清 ―評論『冬を越す蕾』と清宛百合子の手紙を軸に
「転向の時代」に立ち向かう
鈴木清宛百合子の書簡
「時代」の良心を励ました地方紙
和泉龍一 ―「慰安婦きくよ」と戦争責任
生涯をかけて温めたテーマ
モティーフの発展深化
秋田の農村を描く
戦争責任の問いかけ
小林セキ ―三浦綾子が『母』に託したもの
時代を生きた日本の母の物語
セキへの丸ごとの共感
ヒューマンな視線
闇があるから光がある
昭和8年2月20日
多喜二とキリストと
第二部 秋田文学風土の点描
鳥潟ツヤ ―限りある「生」への限りない「あこがれ」
「アララギ」への深い思い
ただ憧れを知るもののみが
自立への模索、そして社会詠へ
柏谷正子 ―春の息吹と人間変革と
「生活」への愛着
女性労働者の群像
松田幸夫 ―『天才人』そして宮澤賢治
はじめに
『天才人』発刊の頃
晩年の賢治との出会い
松田幸夫の半生を貫くもの
中谷敏太郎 ―医師からの転生
七十歳の冬、多喜二への回帰
医師からの転生
吉田朗 ―野の詩人の歩んだ道
秋田の戦後文化を綴る
天性のジャーナリスト精神
第三部 作品論・作家論
『監房細胞』論
鈴木清の宣言
鼓動の文学
澄みきった空への渇望
主人公を支えた古里の山河
時代の象徴としての「監房細胞」
『一九二八・三・十五』論
はじめに
「お由」のまなざしで描く
戯曲の手法
『種蒔く人』そして『クラルテ』
松田解子は現代に何を語るか
松田解子が残したもの
老農・岩谷仁衛門の形象
差別への怒り・松田解子を貫くもの
跋文
時間と空間を共有した共存者の視座
初出一覧
第一部 反骨の肖像
第二部 秋田文学風土の点描
第三部 作品論・作家論
あとがき
本書に関する年譜(参照ページ)
主な参考文献(順不同)
主な資料提供・教示者
著者略歴

[担当からのコメント]
秋田文学の潮流と反骨の文学者たちの人物像を楽しめる本書は、多くの作家と交流を持っていた著者だからこそ描ける作品といえるのではないかと思います。秋田の文学に馴染みのないという方も、ぜひ本書を通じてその豊かで奥深い世界に触れていただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
工藤 一紘(くどう・かずひろ)

1944年 中国山西省太原生まれ。秋田商業高校・秋田大学教育学部卒業。
秋田和洋女子高校(現秋田令和高校)定年退職。秋田工業高等専門学校講師(非常勤)退職。
(所属俳句結社)俳星、あかね、超雲吟社、大正寺句会、句友俳句会、米女鬼吟社(所属団体)日本民主主義文学会、日本近代文学会東北支部、あきた郷土芸能推進協議会、石井露月研究会、秋田県多喜二祭実行委員会、秋田県歴史研究者・研究団体協議会・秋田歴史研究会、雄和ガイドボランティアの会、雄和図書館古文書解読講座
著書に『高校生と民俗芸能~継ぐ・伝承・交流・出会い』(秋田ほんこの会・2006年)共編著に『読本 秋田と小林多喜二』(刊行会・2001年)『俳人・石井露月』(無明舎・2011年)『小説 露月と子規』(秋田魁新報・2018年)編著に『石井露月日記』(刊行会・1996年)『赤川菊村 文化史の道』(刊行会・2001年)共著に『「種蒔く人」の潮流』(文治堂書店・1999年)『〈文学〉としての小林多喜二』(至文堂・2006年)『小林多喜二・生地からの発信』(刊行会・2017年)

秋田市雄和新波字

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