著者:プラトン
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岩波文庫で、夏目漱石の『坊ちゃん』(1,358,000部)を抑えて一番多く読まれてきたのが、プラトンの『ソクラテスの弁明・クリトン』(1,569,000部)*。その『クリトン』のギリシャ語原典からの新訳です。
*岩波書店のホームページ、「文庫豆知識」からの情報。
*岩波書店のホームページ、「文庫豆知識」からの情報。
あらすじ:
紀元前399年春、ソクラテスは「国家公認の宗教を信じず、新手の宗教をもちこんで若者を堕落させた」かどで告発され、死刑判決を受けて投獄された。そこに親友クリトンが現れて、脱獄をすすめる説得をはじめるが・・・。
訳者は京都光華女子大学専任講師、京都大学博士(文学)で、
『ソクラテスに聞いてみた』の著者でもある藤田大雪。
逐語訳ではなく原文の意を汲んで訳したので、
とにかく読みやすい日本語になっていると思います。
下はステファヌス版のページ数で45c-d、クリトンの説得部からの訳例。
「それに加えて、君は君自身の子どもたちをもなおざりにしていると、ぼくには思えるんだ 。彼らを養って、教育してあげることができるのに、置き去りにして行ってしまうんだからね。君には彼らがどんな目にあってもいいっていうのかい。彼らはおそらく、孤児(みなしご)たちがふつう孤児の境遇であわなきゃいけないような、そういう目にあうことになるというのに。つまりね、なにも子どもを作らなきゃいけないなんてことはないんだ。でもいったん作ったら、ちゃんと養って、教育して、苦労をともにしなきゃいけない。この二つしかとるべき道はないはずなんだ。それなのに、君は最も安直な道を選ぼうとしているように、ぼくには思える。それじゃあだめだ。君は、一生をつうじて徳を心がけるように説いてきたんだから、なおさら立派で男らしい徳(勇気)をそなえた人間が選ぶような道を選ばなくちゃいけないよ」
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