著者:山下長幸
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アンケートというと何も目新しい調査分析手段ではありません。世の中で実施されてきたアンケートの数は膨大なものになると思われます。アンケート調査は形式が似たようなものでもよく考えられたアンケート調査とそうでないアンケート調査とでは調査分析結果の巧拙の差が非常に出るものなのです。「何これ?」という殆ど参考にならないアンケート調査結果から「そうだったのか。目のうろこがとれた」というアンケート調査結果まで相当な差が生じるものなのです。
実は筆者は経営コンサルティングプロジェクトの中でアンケートを実施するのが好きな部類に入ります。筆者は20年を超える期間において200に及ぶ大小様々な経営コンサルティングプロジェクトに携わってきました。その中でアンケートを実施する価値があれば出来るだけ実施するようにしてきました。
筆者はこれまで下記のテーマに関するアンケートを実施してきました。
●新商品・新サービスニーズ検証
●業務課題解明(社内、社外)
●顧客満足度調査
●コスト構造解明
●新商品の使い勝手調査
●組織風土調査、従業員満足度調査
●営業勝ち負け調査分析など
アンケート実施の強い動機としてはビジネスインタビューで得られた課題仮説、解決策仮説、顧客ニーズ仮説が正しいかどうかなどを多くの方々に確認して提言の確信レベルを上げたいという気持ちがありました。ビジネスアンケート実施は、プロジェクト実施上の必要性ももちろんありましたが、自分の考えた各種の仮説が証明されるかどうかというゲーム感覚もあり、楽しめるものでした。自分が考えた仮説が概ね正しいとなると、「やっぱりそうだったか」という事になりますし、自分が考えた仮説とは違う結果になれば「意外だけど、そうなんだ」という感じで楽しめるものです。読者の方々も本書を学習して技術を習得すれば、きっとアンケート調査を楽しむことができると思います。
アンケートは物事を定量化するのにも有力な手段です。定性的に課題、解決策、顧客ニーズを語るよりも数値化すると説得力がとても高まるものです。筆者は経営コンサルティングプロジェクト開始の時点でプロジェクト発注企業の方々から「こういう数値が分かれば、とても参考になるのだが・・・」という話を聞くと、そういうデータは存在しないのかと残念な気持ちになるよりも、逆に嬉しいと感じたものでした。そういう数値をアンケート等により数値化することができればプロジェクト発注企業の方々から感謝されるからです。
世の中に公開されている各種統計データというものは、当然役に立つこともありますが、統計データというものは統計を収集分析した方々の特定の目的意識のもとに収集分析がなされているので自己の目的に合致した数量データというものは独自のアンケートなどによるデータ収集が必要になるものです。
筆者は、自らのプロジェクトで実施した質問票を出来るだけ保存して来ましたし、他の方々の実施されたアンケート票やCS調査票のコレクターでもあります。本書では、これまでのアンケート実施経験から体験的に得られたアンケート調査技術を説明していきたいと思います。
本書の全体の流れは以下の通りです。
①アンケートで最も重要なこと
●アンケートで確かめたい仮説の構築
●回答者フレンドリーな設問
②設問技術・設問タイプ
●主な設問技術
-因数分解設問技術
-本質課題原因設問技術
-対比設問技術
-時間軸設問技術
-数量設問技術
-具体設問技術
●主な設問のタイプ
-現状把握のための設問
-課題解明のための設問
-解決策検証のための設問
-ニーズ解明のための設問
-回答者基本属性把握のための設問
③アンケートの実施プロセス
●アンケート計画立案・管理
-スケジュール
-発送数の検討:回答者セグメントの条件・回答数の検討
-アンケート謝礼
-アンケート経費管理
●アンケート票作成
-回答結果分析のイメージング
-設問の並べ方
-設問の分かりやすさ
-設問ページ数、設問数
-自由記入欄
●アンケート発送準備
●アンケート問い合わせ対応
●アンケート回収分析
-回収データ入力
-全体分析・セグメント別分析
-グラフの表記
-調査報告書での調査分析結果の表記
●アンケート謝礼発送
●個人情報保護対策
④課題パターン別設問
●新商品・新サービスニーズ検証
●業務課題解明(社内、社外)
●顧客満足度調査
「アンケート調査の技術」ポイント一覧
著者略歴:山下長幸:やましたながゆき
東京大学法学部卒業、英国外務省奨学金を得て英国マンチェスター大学経営大学院修士課程修了経営学修士MBA
米国系戦略コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(東京オフィス)を経て、日系の経営コンサルティング会社において20年以上の経営コンサルティング歴を持つ。経営戦略、マーケティング戦略、業務改革(BPR)、新規事業や・新サービス開発プロジェクト、ソーシャルメディアマーケティングなどインターネットビジネス戦略などを多数経験。
実務に即効性のあるコンサルティングノウハウを多数有しており、職人技の暗黙知が多い経営コンサルティングノウハウの形式知化を得意としている。若手コンサルタントの育成・研修担当も長年努め、育成上手と言われている。今般、ビジネス・コンサルティング技術を体系化し、10を超えるテーマに関して著作を完成させ、逐次刊行予定。
ビジネス・コンサルティング技術の全体構成
ビジネス・コンサルティング技術は経営学には足りないビジネスの現場実務に直接的に役立つスキルを体系化したものです。
ビジネス・コンサルティング技術学は大きく分けると「コンサルティング基礎技術」と「課題別コンサルティング技術」の2つに分かれます。それぞれのカテゴリーにさらに下記のような個別の技術で構成されています。細かな技術は当然もっといろいろありますが、ビジネス実務での活用頻度の多い13の技術を取り上げました。
●コンサルティング基礎技術
-課題解明技術
-問題解決技術
-書く技術
-プレゼンテーション技術
-プロジェクトマネジメント技術
-リサーチ技術
-インタビュー技術
-アンケート技術
-提案書作成技術
●課題別コンサルティング技術
-新規事業アイデア創造技術
-顧客ニーズ解明技術
-競合他社分析技術
-業務改革技術(BPR技術)
コンサルティング基礎技術は、様々なビジネス課題に対して共通的に活用できるスキルです。筆者のこれまでの経験から主要なものを取り上げました。
課題別コンサルティング技術は、ビジネス課題のテーマ別のスキルで、筆者がこれまで多く経験した4つ取り上げました。もちろん、これ以外にもビジネス課題はたくさん存在しますが、上記の4つについてのスキルは活用機会が多いと思います。
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