著者:青木 雄二
ページ数:156
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<本文「はじめに」より>
ドストエフスキーは『罪と罰』で、人間社会の矛盾というものを社会的な観点を踏まえながら、実に鋭く浮き彫りにさせたんや。主人公ラスコーリニコフは、自分を非凡な人間だと自負している。しかし、銭がない貧乏人や。そのために大学を中退せざるを得なかった。それに反して、ひたすら強欲な婆さんは、金貸しをして金を稼いでいる。それはラスコーリニコフとしては、許しがたい矛盾なんや。
(略)
学を持ったラスコーリニコフも、金を持った金貸しの婆さんも、いわば銭に転んだ人間や。逆にそのどちらも持たない娼婦のソーニャは、それらを見事に乗り越えて驚くべき深い人間性を獲得しているんや。ここに載っている銭と人間の関係を描いた短編は、そういう『罪と罰』の深遠なる哲学から生まれたんや。
<目次>
●50億円の約束手形
自作解説「『ナニワ金融道』につながった作品や」
●彼岸と此岸の間で
自作解説「人生の価値は銭では計れんのやで」
●邂逅
自作解説「『罪と罰』をヒントに描いたんや」
●ラテン喫茶の頃
自作解説「『ナニワ金融道』と並行して描いたからしんどかった」
●コラム:漫画家成功物語 後編「年中無休の24時間営業が漫画家生活や」
<著者>
青木 雄二(あおき ゆうじ)
1945年、京都生まれ。某工業高校の土木科を卒業。30種類以上の職を渡り歩きながら、暇を見つけては漫画を描き、出版社に投稿。後に累計一千万部の大ヒット作品『ナニワ金融道』の原型となった。巨額の富を手にするも、自らの信念に従い、頂点で漫画家を卒業。「いかに貧しき人々を裕福にするか」の研究を続けていたが、2003年肺ガンで逝去
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