著者:高木明啓
ページ数:409

¥250¥0

小澤征爾さんが村上春樹さんとの対談のなかで「今は面白い時代に来ている」と言ったように、21世紀のクラシック音楽界は明らかに変わった。20世紀後半の古楽器演奏の大きなうねりや、クラウディオ・アバドたちによる保守的な楽壇への挑戦、演奏技術教育の進歩、デジタル技術の出現などは、演奏様式の大きな変化と高度な演奏技術を持つ若者の量産、非常設の若くて高品質のオーケストラの誕生などをもたらした。インターネットの爆発的な普及がもたらしたユーザーの音楽CD離れに背中を押されて、メジャー・レーベルは腕利きの若者や女流の発掘に躍起になった。その結果、21世紀は「個の時代」「若者の時代」、そして「女性の時代」になった。

壮年期に一通り完成した私のCDライブラリーは、当時は20世紀中頃から後半の演奏で占められていたが、気が付けば今や半分が21世紀の演奏に置き換わっている。過去の名演奏を軽んじるわけではないが、今の私の感性にはやはり新しい潮流の演奏の方が合うのだ。本書は、私のCDライブラリーから今世紀に録音・発売された約200セットのCD/SACDを選んで書いた試聴記集である。世界的なCD離れの影響で新譜が多く出るジャンルはかなり偏っている上に、私の好みのジャンルも偏っているので、本視聴記の楽曲選択の網羅性については期待しないで欲しい。また、試聴記の内容が私個人の主観や好みに支配されていることも言うまでもない。それでも本書を読んだ後には、小澤さんの「今は面白い時代に来ている」という言葉に納得してもらえるものと思う。

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