著者:菅沼 聖也
ページ数:340
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本書は、IT系の法務やマネジメント実務に携わっている読者を念頭に、重要な論点を含むIT判例について解説したものである。内容は必ずしも平易ではないが、ひとまず、法務部門の方はIT法の論点を中心に、IT部門の方はITやマネジメントの論点を中心に読み進めていただくのが良いだろう。
本書はIT系の判例を扱ったものであるが、いわゆる「判例集」とは少し違ったところを目指している。特徴を挙げれば、以下の二点である。
まず一点は、判例をただ事例として紹介するのではなく、判例を素材としてIT法を理解し、マネジメントや紛争対応に役立てることに重点を置いたことである。その意味で、裁判実務の現実としての側面には留意しつつも、考え方においては必ずしも判例を是としているわけではない。表題どおり、「判例を学ぶ」ではなく「判例で学ぶ」ということである。
もう一点は、個々の論点に主眼を置いた論点主義を採り、論点単位である程度完結した説明を試みたことである。ただ、IT判例のほとんどが占める事実審の判決では、ある論点について一般論が書かれているかに見える部分であっても、事案固有の事実関係や背景が重要な前提となっていることが少なくない。そこで、事案全体の流れの中で判旨をかなり詳細に引用したうえ、各部分の法的意味、マネジメント的意味を徹底して検討した。
【目次】より
判例1.システム開発契約の基本三要素(開発契約の当事者の確定/開発すべきシステムの範囲・内容の確定/システム開発の報酬額の確定 etc.)
判例2.システム開発契約の正否と契約準備段階の過失(契約交渉のプロセス/「SA工程」の着手/契約書の取扱いetc.)
判例3.コンサルティングにおける旧システムの重要機能の欠落(旧システムの機能の踏襲/コンサルティング契約の法的性質 etc.)
判例4.開発プロジェクト進行中の追加変更(一括請負におけるベンダの責任範囲/追加報酬額の算定方法 etc.)
判例5.ベンダのプロジェクトマネジメント義務とユーザの協力義務(意思決定の遅延ないし未了/民法641条解除と過失相殺の類推適用 etc.)
判例6.ベンダが負うプロジェクト中止提言義務(基本合意書の法的拘束力/個別契約締結前のプロジェクトマネジメントの義務 etc.)
判例7.処理時間や排他制御の瑕疵による契約解除(実質を欠く「検収」の効力/明確な合意のない仕様についての瑕疵判断 etc.)
判例8.検収後に判明したシステムのバグ(プログラムのバグと法律上の瑕疵の関係/ユーザのなすべき不具合の指摘 etc.)
判例9.データ移行に必要なデータ構造情報の入手不能(データ構造が不明な現行データの移行の合意/データ移行におけるユーザの役割 etc.)
判例10.株式誤発注の取消不能に伴う責任関係(重過失の意義とバグの作込み回避・発見・修正の容易性/証券会社側の過失による過失相殺とその割合 etc.)
判例11.グループウェアの画面に対する著作権侵害(ビジネスソフトウェアについての著作権侵害の特徴/画面の選択・配列についての侵害判断 etc.)
判例12.エステサロン事業者による個人情報の漏えい(個人情報保護のための安全管理措置/機微情報流出の場合の損害の算定 etc.)
判例13.ネットカフェからの名誉棄損の書込についての発信者情報開示(開示の対象となる「発信者情報」とは/名誉棄損と違法性阻却の成否の具体的判断 etc.)
【ご注意】
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【改訂履歴】
・Ver1.0 初版発行。
・Ver2.0 第二版発行。平成29年債権法改正に対応。
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