【無料で読める】あらゆる願望をかなえる 現代密教 天地開動術

　密教とは、教義のわかりやすい顕教、例えば、華厳宗・浄土宗・禅宗などと対極にある“秘密仏教”のことで、弘法大師・空海が伝えた真言密教がその中心である。仏になるための教えが顕教とすれば、密教は、仏となって生きる教えであるといえよう。加持祈禧によって仏の超常現象を体現できる、すなわち一般には不可能なことを可能ならしめるということが言われている。
　藤本氏は、ヨガに出合って以来、ヨガの哲学を長年にわたって研究し、実践してきた。そしてそのヨガが、密教の根本であることを知り、いつかその精髄を世に問いたいと思ってきた。
　ヨガは、5000年以上も昔、それまでの人類の叡智と体験を凝縮して、インドにおいて完成された思索と修行の結晶、すなわち行法の大系である。藤本氏はこの行法を通して、これまでの密教の枠組みを大幅に変え、空海以前の密教、さらには空海の真言密教の元になった仏教の奥にあるものにまで焦点を当てて、本書を「現代密教」たらしめた。すなわち、われわれ凡人が抱く希望・夢・悲願といったものを現世で実現するためにはどうすればよいのかということを、具体的な多くの実例から明らかにしようとしたのである。したがって、この現代密教の自己開発の方法は、これまでの伝統的方法に縛られるものではない。
それを尊重しつつも、藤本氏自身の修練、ヨガの修行の成果を大幅に援用したものである。いきなり人間の心の深奥に飛び込み、音の力、動作の力、さらには宇宙に遍満するカを活用していこうとするものである。
　したがって、自分の帰依する宗教にかかわりなく、しかも密教を意識することなしに、誰でもこの自己超越の方法を獲得できるように工夫した。
さらに、真言で一番大切なことは、頭の間脳にバイブレーションを起こすことであるから、本書では漢字による表記を排し、また日本語への意訳も避け、カタカナによる表記を採用した。これが、目的とするバイブレーションの誘発のためには、最善の方法だからである。
　これまでの既成の密教書は、儀式や技法にこだわり、あまりにも記憶すべきことや修すべきことが多く、難行苦行は山ほどあるのに、すぐに手にできるものはあまりにも少なかったことは否めないであろう。これでは、密教が本来約束していたことから離れ、皮肉な言い方ではあるが「仏作って魂入れず」のようだ。
　本書はたとえ密教の素養がなくとも、また密教教団に入らなくとも、密教の精華をわがものとするための道案内なのである。宗教書の一角に位置したとしても、求めるところは自己開発の啓蒙書である。密教徒にならなくとも、現世を生きる一人として、密教の精髄に触れ、自らの心音のバブレーションを高めて、宇宙のエネルギーを引き込むことで天地を開動することができるのである。その力を自ら激しく求め、実際に自分の中に集め、構成して、自分の人生に役立てていく。生きていてよかったと本当に思える人生を、今、密教の叡智に導かれて、自らが築いていくのである。
　後悔のない人生を目指し、この世こそをパラダイスにしようと希求し、またそれを実現しつつあるすべての人に、本書はバイブルとなる。