著者:中越 裕史
ページ数:224

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うつな気分を手放すために、微笑みの練習をはじめよう

「僕はカウンセラーなのに、なんでこんなに憂鬱でイライラしているんだろう」
 カウンセラーとして独立して数年たった頃でした。心の専門家を名乗っているにもかかわらず、僕の心の中は深い憂鬱とイライラでいっぱいでした。
ずっと隠していたのですが、今、公表しようと思います。僕は数年前、うつ病になりました。そして、ずいぶんと長い間、うつな気分で過ごしました。自分自身がカウンセラーだというのに。

「こんなはずじゃなかったのに…」と思うと同時に、もう一度自分を取り戻したいと、強く思うようになりました。昔の僕は派遣社員でお金も名誉もなく、独身の実家暮らし。母親にも姉にも心配されていたのですが、毎日の生活の中にたしかに微笑みがあったのです。天気がいい日に散歩をしているだけで、微笑むことができたのです。

僕にとっては、そんな些細な日常のできごとでも微笑めるということ、そんな生き方そのものがカウンセラーであり、僕が心理学を通して学んだことです。

 僕は一度あきらめた子供のころからの夢を叶え、カウンセラーになって独立し、何冊か出版させていただき、今では海外で翻訳までされています。それなのに、なぜ僕はこんなに毎日、うつな気分で過ごしているんだろう。

 僕は何を手に入れて、何を失ったのか。もう自分でもよくわかりません。とにかく今の僕にわかるのは、うつな気分で過ごす毎日に、もううんざりしているということです。そして、それを変えることができるのは、僕自身しかいないということです。

 だから、難しい知識や理論なんて、全て捨ててしまおう。もう一度自分の心を一から点検してみよう。整体師さんが骨のゆがみを直し筋肉をほぐすように、僕自身の心もちゃんとほぐしてゆがみを直し、もう一度整えよう。

 僕が心理学の先生達に教わったことを、体験を通じて学んだことを、ゆっくり丁寧にひとつひとつ思い出していこう。全てはうつな気分にさよならし、微笑みを取り戻すために。そのためだけにこれを書こう。

 バラ色な人生でなくていい。メディアに出てくるようなキラキラした成功者になんてなる必要はない。でも、1日にほんの数回、微笑む瞬間がある生き方をしたい。
 それは決して贅沢なことでも、不可能なことでもない。ほんの少し気をつければ、誰にでもできることです。なによりも、僕は自分自身に対して、もう一度それを証明しなければなりません。
 そうでなければ、何を手に入れたところで、僕はしかめっ面で過ごすことになる。そんな毎日、僕はもううんざりなのです。だから、微笑みの練習をしよう。特別な物なんて何も必要ない。1日に1回の微笑みさえあれば、人生に満足できるはずだから。

 そして僕は、毎日ひとつずつ、「微笑みの練習帳」をはじめました。そして先に、結論だけ書いておきます。僕はうつな気分にさよならして、微笑みを取り戻しました。
 もしよかったら、しんどいことばかりが重なってうつな気分で過ごし、自分がいつ微笑んだかも思い出せない人は、僕と一緒に「微笑みの練習帳」をしてみませんか。

 僕も自分一人でやるよりは、誰か一緒に考えてくれた方が長続きするし、きっといいアイデアも浮かぶはずですからね。

※この本はうつ病の治療書ではありません。うつ病の仕組みやお薬の知識を求める方は、別の本を読むことをオススメします。その分この本は、うつな気分を手放して日々の生活に微笑みを取り戻すことには、自信があります。
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『うつな気分を手放す方法 微笑みの練習帳』は、アマゾンだけでの販売に限定しております。あえて街の本屋さんでは売らない道を選びました。その理由は、本のタイトルにあります。

 もともとこの本は、街の本屋さんでも買っていただけるように、ある大手出版社さんで企画を進めていました。もう少し詳しくお話しすると、この本の原稿がある程度できたとき、以前から付き合いのあった編集者さん2名に読んでいただきました。2社ともほとんどの人が知っている雑誌の出版社です。

 そして、2社の編集者さんから、どちらもほぼ同じようなお返事がきました。

「とてもいい原稿なので、ぜひ出版できるように前向きに進めていきます。でも、一点だけ問題があります。それは微笑みというキーワードをタイトルや表紙から外してもらうことです。
 実は今までの統計上、微笑みというキーワードがタイトルに入った本は、売り上げが良くないのです。ましてやこの出版不況。原稿そのものはいくらよかったとしても、このキーワードをタイトルから外さないと、会社からの了承がおりないのです」。

 僕はずいぶんくいさがったものの、本心ではそれは仕方がないなと思っていました。一般的にはあまり知られていませんが、実は大手の商業出版の場合、本のタイトルは著者ではなく、出版社が会議で決めることがほとんどです。

「本が売れるかどうかは、9割はタイトルで決まる」と、よくいわれます。そして一冊の本を出版して街の本屋さんの店頭に並べるには、本当に莫大なお金がかかります。いろいろなケースがあるようですが、僕の場合、その金銭的リスクは全て出版社が背負ってくれていました。

 それを考えると、売り上げに直結するタイトルを出版社さんが過去のデータから決めるというのは、ある意味、当然のことです。僕が出版社の経営者だったとしても、おそらく同じ判断をするでしょう。だから、この本のタイトルから微笑みというキーワードを外して欲しいといった編集者さんの意見は、とても理解できるし正当なものです。

 それに出版社さんだけではなく、著者としても本を出すからにはたくさんの人に読んでほしいです。本文を無理矢理変えられるとかなら別ですが、無理に自分で考えたタイトルにこだわるより出版社に任せてしまうのも、一人でも多くの方に読んでもらうための一つの考え方です。実際、いままで僕が書いてきた本も、ほとんどは出版社さんの考えたタイトルでした。

 だから、僕は今回の『うつな気分を手放す方法 微笑みの練習帳』について、タイトルから微笑みというキーワードを外してほしいという言葉を聞いて、「やっぱりタイトルだけは、出版社さんに任せるしかないか。まあ仕方がないか…」と、なんとか自分の中で折り合いをつけようと、何週間も悩みました。

 でも、この本のタイトルや表紙から微笑みというキーワードを外すことを考えると、僕はなんだか悲しい気分になり、またしょんぼりした顔になりました。

 元々この本は、僕と奥さんが食卓のテーブルに置いていたメモ帳がはじまりです。何年も書き続けているうちに、僕にとって「微笑みの練習帳」という言葉は、特別な意味を持つようになっていたのです。

 何週間もしょんぼりした顔で過ごしたあと、僕はふと気づきました。
「『うつな気分を手放す方法 微笑みの練習帳』なんて本を書いておいて、自分自身がしょんぼりした顔になっていては、笑い話にもならない」。

 しょんぼりした顔になってまで、街の本屋さんの店頭に並べることにこだわる必要はない。もちろん今回の本だって、一人でもたくさんの人に読んでもらいたい。でも、今回だけはタイトルにこだわる気持ちを譲るのはやめよう。そうやってこだわり抜いて創ったタイトルの本が、少し前の僕と同じようにうつな気分から抜け出せないどこかの誰かを、たった1回でも微笑むことに役立てたのなら、今の僕にとっては一番うれしいことだ。この本の売り上げが少なくなったとしても、今の僕にとってはずっと微笑ましいことだ。

 僕はそう考えるようになっていろいろ調べているうちに、アマゾンの電子書籍KDPや、アマゾンから紙の本を出版するPODという方法を知りました。それをやってくれる編集者さんをネットで検索しているうちに、僕はもうすでに微笑んでいました。

 そんなわけで、もしこの本を気に入っていただけて、ご友人等に勧めていただけるのであれば、「アマゾンで買えるよ」とぜひ一言付け加えてあげてほしいのです。そのたった一言で、僕もそのご友人もきっと微笑むことができると思います。

【著者プロフィール】
中越 裕史 日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー 産業カウンセラー。1979年生まれ。大阪府大阪市在住。やりたいことがわからず悩んでいる人のため、天職探し心理学を立ち上げ10年以上になる。主な著書として『天職がわかる心理学』、『好きなことが天職になる心理学』、『「やる気」が出る心理学』。共にPHP研究所

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