著者:日本映像翻訳アカデミー
ページ数:239

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本当のプロだけが知っている、最良の字幕を導き出す方法論―。
従来の翻訳研究では語られてこなかった、英語から日本語への字幕翻訳を「映像翻訳の実務と映像翻訳者の視点」から分析し、そのメカニズムを解析する。映像翻訳(英日・日英)教育と職業訓練校の専門スクールである日本映像翻訳アカデミーが、字幕翻訳の「あるべき姿と、あるがままの姿」を明文化した解説書。

【前書きより(抜粋)】
 時代は大きく変わろうとしている。AI(人工知能)が自動生成した字幕や、動画ファンが自身の機材で編集した吹き替えがプロの仕事と比較される日は、もう目の前に迫っている。
 「プロの映像翻訳者が生成した」というだけで、市場が字幕や吹き替えをありがたがる(相応の対価を支払う価値を認める)ことはなくなるだろう。最良の成果物を求める発注者は映像翻訳者にこう問いかけるはずだ。「あなたのようなプロが作る字幕や吹き替えは、他の方法で生成されたものと比べてどこが優れているのですか? 具体的に説明してください」。自らの成果物が確かな理論に基づいた技能から成り立っていることを説明できれば、映像翻訳者の仕事は選ばれ、相応の対価が維持されるだろう。しかし、この質問に答えられなければ「プロが作ったものは違うのだ」といくら主張しても相応の対価を維持することはできないだろう。映像翻訳のコモディティ化の始まりだ。
 手遅れにならないうちに、何としてもくい止める必要がある。
 日本映像翻訳アカデミーは「創設20周年記念事業」の一環として「映像翻訳研究プロジェクト」を立ち上げ、映像翻訳が内包する高度な価値を明らかにして広く社会に発信する事業に着手した。本書は同プロジェクトによる最初の成果物である。国内外の学術分野における研究成果や映像翻訳業界の先達が執筆した書籍などを参考にさせていただきながら、多くの映像翻訳者が実務の中で見出した理論やルールをでき得る限り形式知に落とし込むことを試みた。
 映像翻訳の代表的な技能の1つである字幕翻訳の「あるべき姿と、あるがままの姿」を追求し、そのすばらしい理論や特性を明文化して後世に残す―。
 本書は主観や感想を極力排した解説書であるが、行間には映像翻訳という職能に誇りを抱く私たちの、そんな思いが詰まっている。本書を楽しみ、生かしていただければ幸いである。

【目次】
<第1章 学術的アプローチの概要>
1.1 日本における「翻訳」の始まり
1.2 翻訳研究における映像翻訳の位置づけ
1.3 字幕翻訳の特徴

<第2章 字幕翻訳の基本~翻訳者が字幕を作るときに行うこと・考えること>
2.1 基本ルール
2.2 ハコ切りとスポッティング
2.3 英語解釈
2.4 コンテンツ解釈
2.5 日本語表現
2.6 取材・調査

<第3章 字幕翻訳者の戦略的アプローチ~翻訳者が字幕を作るときの思考順序>
3.1 全体的ストラテジーと局所的ストラテジー
3.2 字幕翻訳における局所的ストラテジー:4つのテクストタイプ
3.3 字幕翻訳における局所的ストラテジー:4つの側面と受容化・異質化
3.4 字幕翻訳における局所的ストラテジー:5つのメソッド

<第4章 字幕翻訳の実践>
4.1 字幕翻訳における全体的ストラテジーと局所的ストラテジーの分析
4.2 字幕における省略
4.3 字幕における言い換え
4.4 字幕における補足
4.5 字幕における創造

<第5章 字幕翻訳のレジビリティ~日本語表現だけにとどまらない読みやすさの追求>
5.1 字幕の制限文字数と文字幅
5.2 縦書きと横書き
5.3 字幕のフォント

<第6章 プロの字幕翻訳者に求められるスキルとノウハウ>
6.1 映像翻訳者に求められる6つの資質
6.2 品質管理
6.3 映像翻訳における著作権

【著者情報】
<著者>
日本映像翻訳アカデミー(桜井 徹二、藤田 奈緒、新楽 直樹)

<執筆協力>
野本 愛(日本映像翻訳アカデミー/映像翻訳者)
藤田 彩乃(日本映像翻訳アカデミー ロサンゼルス支社社外取締役)

<発行元>
日本映像翻訳アカデミー株式会社
〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町3-2-4 共同ビル(日銀前)2F/3F
Tel 03-3517-5002
Website http://www.jvtacademy.com

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