著者:竹尾愚
ページ数:126

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『かぶとやまやき』あらすじ
愛知県岡崎市に「米軍海兵隊の新基地を建設する」らしい。
俺は七年前、家族を解散し、陶芸作家になることにした。岡崎市で明治時代に存在した甲山焼きを復興しようとしていた。七年経ち、ようやく完成に至ったのだが、甲山から転居してくれと行政から命じられる。
五年前に立法された「抽選決定法」により三年前に岡崎市が「赤玉」を引き当て、岡崎の中心市街地に米軍基地ができることに決まったというのだ。
娘の眞由は「基地予定地は第二次大戦の岡崎空襲で廃墟となった地域と一致する」と指摘する。眞由に導かれて俺は沖縄に行き辺野古の基地反対の抗議運動に抗議に行く。反対派のため辺野古移設が難しいため岡崎に基地ができると考えたからだ。しかし沖縄で俺が見たものは左翼の組織的な反対闘争や外国の策謀による工作、ではなく沖縄を二度と戦場にしないための市民たちの真摯な姿だった。
俺は行動を開始し、岡崎市長選に出馬しようと友人の薮田に相談するが、彼は自分が立候補すると言い出す。岡崎に真のバリアフリーを実現したいという。彼は基地賛成派だった。
別の手段を模索し、平和を語り合う朝茶会の稲木に相談すると。稲木は「天皇のご真意」を録音した音源が存在するという。それは「新基地問題は他国への従属であり痛ましく愚かしい」というものだった。稲木と木崎と俺の三人で「G(偽勅)作戦」という爆裂弾をネットに投げ込んだ。
眞由の選挙作戦が功を奏し薮田が衆目の予想を裏切り市長に当選し、「G作戦」はネットで拡散されNHKで放映された。成功かと思ったがすぐに水がかけられる。
稲木が幼女かどわかしで逮捕され、薮田新市長に相続税法違反の疑いがかけられ、木崎は横領容疑で逮捕された。その秋の大風は俺のまわりの人々を薙ぎ倒していったが、岡崎は何も変わることなく、俺は次第に基地反対への興味を失って行き、作陶に没頭し始める。
翌年のクラフト市で甲山窯としてデビューする。ひとつ一〇〇万円の値札をつけた日本戦史を描いた茶碗が十二個すべて割られた。「百万円均一の店」とテレビで全国に面白く紹介されたがその時に「くじは出来レースだと大学の縞田が言っている」と口を滑らせてしまう。
翌月に大事故が起きた。岡崎の河原に米軍のオスプレイが墜落したのだ。しかも眞由の住むアパートの一室を破壊した。周辺は米軍に規制されていて近づくことができない。眞由の安否を案ずる俺に眞由から着信があった。無事だという。その電話で縞田先生が「事故死」したことを伝え、眞由は俺の生き方を強く非難し、絶縁を告げて電話を切った。

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