著者:世界遺産ハンター
ページ数:121
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いきなり社会に放り出された。
高校を卒業する前に一つだけ将来を決めていた。「俺は、世界を見る」卒業まじかに友達の前で言った言葉。
何もない俺が何をしたいのか?
自分なりに考えた結果、ただ漠然と、世界中を旅して周りたいと思った。俺はまず働きながらお金を貯めてアメリカに行った。英語がしゃべれない。
行けば何とかなるっしょ?
ちっともならねーよ!
ボロボロに打ちのめされて帰ってきた。英語は全然ダメだったがアメリカでの生活は最高だった!!
帰国後、今度は英語を自分で勉強しながら働いた。英語にリベンジする為に。その後アリゾナ州に短期留学し、何とか片言の英語を覚えた。もっと英語を勉強したかった。仕事を転々としながらお金を貯めた。だが、いつしか俺は、日本社会に組み込まれ、満員電車に馴染んでいた。
スーツはヨレヨレになり、目から若さが失われ、通勤ラッシュに押しつぶされていた。日本のサラリーマンはホントに偉い。ストレスで病気になり、過労死するまで会社の為と働き続ける。まさに現代の侍だ。
ただ、俺には無理だった。
私生活もうまくいかず、全てにおいて中途半端に終わりかけていた。そんな時、先輩からアジアを放浪したと言う話を聞いた。バックパッカーとか言う旅のスタイルがある事を初めて知った。放浪の旅と言うものに憧れた。
そんな時に友達が、沢木耕太郎氏の『深夜特急』を貸してくれた。
『深夜特急』を読んでこう決めた。
とりあえず旅に出よう。
お金がない。
時間がない。
英語が喋れない。
うだうだ言い訳ばかり並べて『やりたい事をやる』と言う、極シンプルな原理から逃げていた。30万円もあれば二ヶ月くらい普通に過ごせる。足りなきゃクレジットカードでキャッシングすればいい。英語だって片言しゃべれれば困らないだろう。
俺は完全に開き直った。
理由も何も要らない、ただ行きたいから行く。
俺も行こう!!本を読んでいるうちに選択肢が一つだけになっていた。この本を読んで旅に出た人は、かなりたくさん居ると思う。ただ行きたいから行く。そんな当たり前のことを決断させてくれた。
だから俺は今、ここに居る。
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