著者:柏 耕一
ページ数:174
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「誰でもなれる」「最底辺の職業」と警備員自身が自嘲する交通誘導員の実態を、悲哀と笑いで描き出す
――すべて実話の生々しさ――
全国55万人強の警備員の主流をなしている「交通誘導員」の人間臭いドラマを克明に描いた初めての作品。通行人にクレーム入れられ、現場監督に怒鳴られ、警察に注意され……。それでも私は今日も路上に立つ。
●はじめにより●
ガス管工事会社専従の若い同僚が、「警備員のことなんて書くことがあるんですか。第一、面白い話なんてないでしょう」と疑問を呈していたが、私はこう答えたものだ。
「それがたくさんあるんだ。なぜなら交通誘導員は一般的に毎日依頼先も現場も同僚警備員も違うからね。近隣住民やドライバーにもさまざまな人がいる。年齢も違えば多様な価値観を持つ人間の集まるところにはドラマが生まれる。私はそれを体験し見聞きしてきたから、面白くないはずがない」と。
日記形式の本文全項目はすべて私の体験が基になっている。心身ともにヨレヨレになりながら奮闘した話もあれば、滑稽な話、深刻な話もある。同業の人にも警備の世界の知識がまったくない人にも一読して何かを感じていただければ幸いである。
●もくじ●
まえがき─〝最底辺の職業〟の実態
第1章 交通誘導員の多難な日常
某月某日 トイレ掃除:警備業法違反を隊員に強いる隊長の弱味
某月某日 通行止:交通誘導警備員はお地蔵さまではない
某月某日 猛女:子連れ女性のたくましきパワー
某月某日 お金の話:警備員のリアルなフトコロ事情
某月某日 意気地なし:片交ができないと現場で尻込みする大男
某月某日 人は嘘をつく:妻に責められる私の、身勝手な弁解
某月某日 最高齢警備員:エロ爺さんは素敵な人格者
第2章 交通誘導員の喜びと悲しみ、時々怒り
某月某日 黄金譚:糞尿にまつわる滑稽きわまりない顛末
某月某日 大失敗:サイン拒否した親方の言い分
某月某日 花火大会:長岡大花火大会警備2泊3日道中記
某月某日 プライド「:大学出て警備員」は恥ずかしいのか?
某月某日 陽気な異邦人:外国人労働者たちとの交流
某月某日 パチンコ屋警備:監視カメラもあって気が抜けない
某月某日 職場放棄:我慢の限界を超えたとき
某月某日 承認欲求:警備員の喜びってなんですか?
某月某日 夜勤明けの出来事:どん底での犯罪の誘惑
第3章 どうしても好きになれない人
某月某日 誘導ミス:交通誘導警備員が一番恐れること
某月某日 たかが挨拶:なぜ挨拶をしない人が嫌われるのか
某月某日 駐車場警備:ドライバーの思いもよらぬ抗議に泣かされる
某月某日 好きになれなかった人「:いじめ」か「愛のムチ」か
某月某日 警備員は歯が悪い?:歯医者へ行く時間がないか金がないか
某月某日 通報される人:こんな行動は警備員失格!
第4章 できる警備員、できない警備員
某月某日 首振り人形: 2秒間隔で首を左右に振り続ければ警備員合格?
某月某日 コミュニケーション能力:警備員に外国人が少ないのはなぜ?
某月某日 できない警備員:ここにも能力格差は存在する
某月某日 家宅捜索:税金未払いで税務署員に部屋を捜索される
某月某日 枝道地獄:警備能力を超えた現場
長いあとがき
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