著者:二見龍
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S氏の話す内容は、鋭利で音もなく敵を倒す実戦に特化した凄みのあるものです。しかし、彼の言葉には力みや感情の起伏が一切ありません。そして、いつの間にか対談は柔らかな光の差し込む豊かな森の中を2人で歩きながら気持ちよく会話をしている感じで進んでいきました。 このような状態に自然に導かれて行ってしまうのは、S氏が高いスカウトの戦闘技術を身に付けているからだと思っていました。ただ、それだけではないことはわかっているのですが、それが何なのかはっきりしませんでした。対談を重ねていくうちに、覆い隠していた霧が徐々に晴れ、現れてきたものは、『自己抑制』と『不屈の意思』でした。 その言葉がストンと腹落ちしたのは、S氏がスカウト訓練を受けている時、スカウト・インストラクターから言われた『スピリット』を聞くことができたからです。「的確に行動し、確実に前進し、力みもなく迷いもなく躊躇もなく恐怖もなく、ただひたすらスカウトとしての毎日を全うせよ」、「忍耐とひたむきな努力を厭わない者がスカウトであり、責任と覚悟を貫いてこそスカウトチームである」。この内容を実践する訓練は、恐ろしく長い『静』と過酷な『動』という想像を絶する訓練の連続であることがわかります。極限状態の中、常に冷静な自己と不屈の意志を保持することが求められ、訓練と同じレベルで常に日々の生活も行なうことにより、さらなる高みを目指し続ける。 これがスカウトの『スピリット』であり、『自己抑制』と『不屈の意思』がスカウトの中に大きく強い核となって存在し、その上に戦闘技術を身に付けている最強の強さを発揮するのが、スカウトであることがわかりました。 では、『二見龍レポート#5 見えない戦士の作り方』をお楽しみ下さい。
—目次—
はじめに
常にいつ何があるかに備える
40連隊との出会い
スカウトチームの訓練
インストラクターとして必要なレベル
個別訓練とチーム訓練
スカウト・スーツ スカウトの銃の取り扱い
オペレーションの前に行う徹底した準備
サプレッサーを常時使用する理由
偵察に利用するスコープ
スカウトの適性
生き残るために必要なこと
最善の行動を常に考える
訓練を提供した時の印象
奥深いトラッキングの世界へ入り込む
いかに情報を持って帰ってくるか
感覚とデータ
作戦行動と喫煙
鋭い感覚の保持と睡眠
スカウトチームに在籍したメンバー
スカウトとしての身体の管理
自分の色を消す
おわりに
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