著者:沢瀬直太朗
ページ数:169

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人前で極度にあがってしまった辛い経験が、あがり症の原因になると考えられてきました。
 生まれつきあがりやすい人がいるとも考えられてきました。
 また、あがり症の人は「頭が真っ白になってしまうこと」や「赤面してしまうこと」や「体が震えること」に恐怖し、人前が極端に苦手になっているのだと考えられてきました。
 でも、全部違いました。
 過去のトラウマがあがってしまう原因ではないし、生まれつきあがりやすい人もいませんし、あがってしまって体のコントロールがきかなくなることに恐怖しているのでもありません。
 私たちがなぜこれほどまでに人前で話すことに苦しむのか。
 そしてあがってしまわないようにあらゆるテクニック――例えば動画をとって何度も練習するとか、複式呼吸とか、人前が好きだと自己暗示をかけるとか、緊張は必要だと自分に言い聞かせるとか、自分が観客を見る側に回るとか、あがり症の自分と上手くつきあっていくとか――そういうテクニックを身につけてまで、なぜ、なおも人前にこだわり続けてしまうのか。なぜ、ずっとずっと「あがってしまう恐怖」に縛り付けられてしま
 それは、許せないからです。
 私たちが人前で極度にあがってしまうのは、許せないからなのです。 たったそれだけです。
 何を許せないのか。
 凄く大きいところから言えば、過去の親子関係から話ははじまってしまうのですが……そこは割愛します。もう少し近いところからはじめると、「他人にダメだと思われること」が死ぬほど許せないのです。死ぬほど、です。
 もっと具体的に言います。
 我々は何を許せなくて人前という鎖に縛りつけられているのか。
 それは、人前で極度にあがってしまって、
「なーんだ、こんなこともできない人だったんだ」
 って、周りの人からガッカリされることです。
 そう思われることが怖くて、屈辱で、恥ずかしくて、惨めで、耐えられなくて、許せないのです。
「なーんだ、こんなこともできない程度の人だったんだ」って、上司から、同僚から、後輩から、あの人から、この人から、あの子から思われてしまったら、いよいよをもって「駄目な奴」という完全なる烙印を押されてしまう。「駄目な奴」という本当の自分の姿を見破られてしまう、という恐怖に縛り付けられているのです。それが許せないのです。

どれくらい許せないのか。それは、*死ぬほど許せない*のです。だから死の恐怖に直面したかのごとく極度に緊張するのです。
 そこを許せないまま、そこに気づかないまま、そこを無視したまま「どうやったらあがらなくなるのか」という方法を探しても、ずっとずっと恐怖に縛りつけられたままでしかないのです。
 公園の平均台渡りは、失敗しても死にません。だから怖くないのです。
 人前で話すのも、失敗しても何ともないんだということに気づかなければ、恐怖は消えません。
 ただの公園の平均台渡りなのに、地上百メートルの平均台渡りだと勘違いしたまま「テクニック」を身につけても、落ちる恐怖は消えないのです。例えどれだけ場数を踏んで上手くなろうとも人前に出る恐怖は消えません。
 ただの公園だったんだと気づくだけで、体から、心から、すーっと力が抜けます。気張らなくても人前で堂々と話すことができます。だって、ただの人前ですもの。何も怖くないのです。
 許すのです。「なーんだ、こんなこともできない程度の人だったんだ」って思われてしまうかもしれないことを許すのです。
 すべてはそこからはじめるのです。
 ただね、そう言われたからと言って、簡単に許せるわけではありません。
 でも安心してください。
 お金も時間もかからずに、許す方法があります。その方法は第一章にすべて書きました。
 また第二章では、そもそも恥をかくことを極端に恐れる背景には、自尊心が低いことが原因である可能性が高いため「自尊心」を身につける究極的な方法を書かせて頂いています。
 第三章では「人前で最高のパフォーマンスをする方法」という実践テクニックを、私の実体験を元にご紹介させて頂いています。
 人前で極度にあがってしまう人にとって、本書は必ずお役に立てると思います。
 本書を手にしてくれた全ての人が、人前という「死ぬほどの恐怖」から解放され、自由になれることを願って書き上げたことをここに記します。

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