著者:坂根 修
ページ数:129
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【著者プロフィール】
坂根 修(さかね・おさむ)
1944年東京生まれ。
1962年東京都立農芸高校卒業。
東京農業大学在学中に南米ブラジルに渡る。10年後に帰国。
2年ほどのサラリーマン生活のあと、埼玉県寄居町で営農の傍ら「皆農塾」を開く。
1989年皆農塾分室を愛媛県肱川町(現大洲市)に開設。 現在に至る。
■著書
『都市生活者のための ほどほどに食っていける百姓入門』(1985年、十月社)
『痛快、気ばらし世直し百姓の塾』(1987年、清水弘文堂)
『ブラジル物語』(1988年、清水弘文堂)
『脱サラ百姓のための過疎地入門』(1990年、清水弘文堂)
『ベーシック・インカム(国民配当)投票に行ってお金をもらう構想』(2016年、文芸社)
『日本の進むべき道 ベーシック・インカム』(2016年、文芸社)
『明日のための疎開論』(2017年、文芸社)
『移民船上のわが友』(2018年、ルネッサンス・アイ)
[読者から頂いたお声]
まず、題名に魅かれてこの本を手に取った。「五つ星無料レストラン」とはどういう意味なのか。無料?読み進めていくと、ある限界集落を活性化させることを目的とした場所だということがわかった。
物語はまず、二人の若い男女がその店に訪れるところから動いていくのだが、その二人に対して不信感を持つ地域の人たちの姿から、その集落が限界に近づいていることが感じ取れる。
「人間は知らないものを怖がり警戒する」「平和を守るというのは新しい人間や知識を疎外するという習慣がある」という文が書かれている。平和を守るために新しい物を疎外することで、むしろ集落が限界へと近づいていくというアイロニーを感じた。
そして思い出したことがある。私の娘が、以前山口県の周防大島に民泊をした経験がある。娘がお世話になったのは、30代の若い夫婦の家だった。都会から移住してきたそうだ。家はお世辞にも綺麗とはいえないもので、トイレは娘初体験のぼっとん、お湯も水道から出ないので、必ず水から沸かさなければならない。なぜ都会の便利な暮らしからこのような暮らしを選んだのか、都会育ちの娘は疑問に思ったそうだ。周防大島は、若者の移住を推進している島だった。それに伴い驚いた事に、娘の友人が民泊をした年配夫婦の家の方が、自動で沸く風呂、自動で流れるトイレ、その他の家電、なんでも揃っている環境であったそうだ。
そんな話を思い出しながら、平和を守るために、新しいものや、異質な物を除外しようとすることは本末転倒なのであると感じた。
この物語の進み方は一章一章で、集落に住む人々の出来事や会話から、現代社会であげられる選挙、社会保障、教育、財政、などの問題が取り上げられている。この物語の中では、集落を活性化させるために、利益を村のために使う村営のガソリンスタンドであったり、題名にもなっている無料のレストランであったり、自分たちでの学校教育、また利益を集落のために使うことを目的とした都会の人に対する夏季学校実施など画期的な案がたくさん出されている。これらは、集落だからできる案なのである。しかし、これらの案を日本全体で実施できるようになった時、今日本に溢れている問題が少し減るのではないか?と考えられた。
2人の若者が集落に移住したことを発端に活気づいていくこの物語は、どこか今後のこの国への希望をも見出させてくれるように感じた。(50代:女性)
物語自体とても面白くついつい没入してしまいました。その理由のひとつとして、本書のようなことが実際に日本のどこかで起きている、もしくは起きてきたのではないかと思ったことです。農業に関しても詳細まで記されており、どこかリアリティや生々しさのようなものを感じました。
本書を読ませていただいた後に、著者様のプロフィールも拝見させていただきました。農業に関してとても傾倒されていることを知り、本書で農業に触れてらっしゃる理由がそこにあるのだと理解しました。
また、本書は、それぞれの章によって現代社会の問題に触れています。例えば、教育についてや社会保障、行政の問題などです。それらを問題提起しつつ、ではこの物語の地域ではどうこれらの問題に立ち向かうか、どう解決をすれば良いのかといった解決策についても提示されており、案に物語を楽しむだけでなく、私にとっては学び、考えさせられる内容でした。
実際に現代社会の流れに乗れず限界が来ている地域や農村などは多いと思います。比較的都会の近い地域においてもシャッター街などが数年前からあり、寂しさは残りつつも最近ではそれが当たり前の環境のようになってきていると思います。そういった地域の方々が本書を読まれれば地域の活性化や社会問題への解決の糸口になるのではないでしょうか。本書を通した成功事例が生まれれば、各地域に拡大し、日本の社会情勢も好転していくのでは・・・?などとも考えていました。
著者様の他の書籍についてもタイトルなど拝見いたしましたが、本書はある意味特殊で、物語にすることでより一般的な方々でも読みやすく作られていると感じました。その点も押していければ上記のような兆しが見えてくると思いました。個人的には小学校や中学校に置いてほしいとも思ったほどです。これからを担う若い方々に物語を通して日本社会の問題に触れ、考えるきっかけにもなるはずです。この著者様の本ができる限り多くの方の手に届くことを祈ります。
(30代:男性)
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