著者:喜多山 玲、横田 直也
ページ数:369
¥99 → ¥0
「スルメです。噛めば噛むほど味が出るような人間です。」
著者の私が大学生だった頃、就職活動中のグループ採用面接時に出会ったやりとりのひとつですが、心の中で「どういう質問?」とつっこんだのを覚えています。
「あなたの強みはなんですか?」
「特技はなんですか?」
その他にもこうした質問が飛び交い、誰も彼も同じようなテンプレ回答をしていたのがとても印象的でしたが、俗に言う、就活シーンで行われた「自己分析」とはこんなイメージなのです。
たしかに自分のことを考えるのは大切だけど、この違和感の正体はなんだろう。そんなことを考えながら出した結論は、
「そこに哲学がない」
ということ。つまり、自分の人生に対する思考ではなく、目の前の就職という手段、あるいは答えに合わせた「正しい自分」をつくるための過程でしかないのではないかと、そう思うようになったのです。
本文中でもお伝えしますが、正解探しの呪縛に捉われている人があまりにも多い現状をよく目の当たりにします。例えば、
「就活で有利な自己分析」とか
「志望動機を伝えるための自己分析」とか
「自己分析」を検索して出てくる関連記事もこんな調子。
手段が目的化してしまっている、という表現はありきたりかもしれませんが、誰かのマーケティングに泳がされた選択しかできなくなっている人たちが多いという世相が表れているのかもしれません。
本書では、こうした社会の罠の存在に気付き、そこから抜け出すための方法も解説していますが、一言で言うなら「映画を観る優先順位を上げることが最も有効である」という仮説なのです。なぜ映画鑑賞が有効だと考えているのかをお伝えするには少し説明が必要になるので、ここで書きますね。
自分の人生を良くしようと思った時に、何も考えなくても良い人生になっていく一部の天才たちを除いて、普通の人には必ず「戦略」を立てる必要があると考えています。
戦略を立てるために必要なものは2点。「目指す目的地」と「自分の現在地」の2点を明確にすること。言い換えると、ビジョンを持つことと、自分自身を理解することの2点だとも言えますが、共通して言えることは、そこには「自己分析」というプロセスが必要だということです。
就職のためとかではなくて、あくまで「人生をより良いものにしていきたい」という目的を前提とした話にはなりますが、この自己分析を可能にするために、自分で自分のことを内省する時間ももちろんですが、他人からの評価を受けること、様々な価値観や生き方に触れること、新しい経験をし、視点を増やすことなど、外部からの情報を取り入れる経験をする必要があると考えています。
では、これらを網羅的にインプットできる媒体は?
私たちはそれを「ストーリー」であると断言しています。漫画や小説、ブランド、アート、何でもいいと思っているのですが、最もインプットのハードルが低く、五感でフルに体感できる媒体は何かを考えた時に、「映画」一択だろうと、そう思っているわけです。
つまり、自己分析するなら、映画を観ろ。(あるいは、就活の自己分析をするくらいなら、その時間を映画鑑賞に充てた方がいい、というニュアンスで)というメッセージをメインテーマに据えているわけですが、これが多くの人に届き、映画鑑賞という新しいインプットを日常に取り入れ、自分の人生設計を主体的に考える人が増える社会になることを願っています。
さて、そんな私たちが書いた本書では、オンラインで開催している学習・交流イベント「自己分析より、映画観ろ。」内でお伝えしてきた内容の要点をピックアップし、「映画から学ぶ、人生戦略と哲学」をテーマに、映画の魅力や、そこから身につけられる考え方などをお伝えします。
この本を読んだ人には、もしいま映画を観る習慣がなくても、ぜひ違った視点で映画を1本観てみて欲しいし、私たちのイベントに参加してその感想をアウトプットをして欲しいです。その場にいるメンバーの気付きや学びを共有して、価値観を広げることや視点を増やすことができますし、そして、映画の中の学びを認識すればするほど映画観賞に対する罪悪感がなくなり、より良質なインプット・アウトプットの習慣ができるのではないかとも思っています。
今回の内容を低価格にしているのにも理由があります。お金よりもまず、私たちの目指している世界観を多くの人に知ってもらうことを目的にしているからです。そして、共感してくださる方と一緒に活動できればめちゃくちゃ楽しくなる気がしているので、そんなことを期待しながら出版しました。
その目指している世界観は何かというと、映画から人生の流儀を学び、ビジョンのある幸せな人生で溢れる能動的な社会。また、そんな社会を構成するアプローチとして展開する「映画教育」の位置付けを、アンダーグラウンドからメインストリームに押し上げることを目標にしています。
自分の好き嫌いの判断基準が曖昧だったり、やりたいことがなくて悩んでいたり、自分の人生を能動的に生きられていなかったり、そういう人たちが若い世代に多い印象があります。本編で詳しくは解説していますが、自分の感性を磨き、能動的な生き方のパターンを知り、わくわくするビジョンを持つことができるようになるものと言えば、これもまたストーリーであり、映画でしかないと、私たちは考えています。
それでは本編を読み進めていきましょう。
第1部「映画から学ぶ、30の人生戦略と哲学」では、タイトルの通り、大きく30トピックスに分けた学びのエッセンスを、インタビュー形式でお伝えしていきます。主催者独自の表現で、具体的な映画になぞらえてお伝えしたりもしており、興味のあるトピックスから順不同でご覧いただけるようになっています。
第2部「バックナンバー」では、毎週定期開催しているオンラインイベント「自己分析より、映画観ろ。」の初回から15回目までの様子を、読み物として再編したものを掲載しました。毎週セレクトされる課題映画を観た参加者が、感想や気づきをアウトプットし、それに対するフィードバックや意見交換などを行う場を開催しています。
このイベント自体もそうですが、私たちが何を目指しているのか、どのような場を作っているのかを知っていただければと思っていますし、これから新しく一緒に混ざってくださる方のきっかけになればいいなという思いで掲載しましたので、ぜひご一読ください。(こちらも興味のある課題映画の章からピックアップして読み進めていただいても大丈夫です。)
また、各章の途中には、本書の表紙や扉絵、ロゴのデザインの制作にあたってのコンセプトシートや、こだわりの箇所を共有するコラムなども掲載していますので、隅々まで楽しんでいただけると幸いです。
<現時点の妄想の話をいくつか>
■この本を英訳して海外で出版したい
まだ声もかかっていないのに「海外で書籍出版」という実験をしてみたくなったので、英語圏で出版してみようかなと考えています。英語が得意な方や海外に販路のある方はぜひお力添えをお願いします。(最悪Google翻訳でいきます。)
■映画を用いた教育プログラムをつくりたい
映画教育を世に広めていく活動をいよいよ展開していきます。とはいっても何からやればいいのか全員が手探り状態ですので、身の回りの人から認知してもらえるように、まずは体系的にまとめて行こうと思っています。企業や学生団体の新人研修・リーダー研修、子どもの教育について考えるご両親や、これから親になる人たちなど、幅広く活用してもらえるような状態にしたいと考えています。
■映画教育に特化したボードゲームをつくりたい
映画教育をカリキュラムにしたものを広く認知してもらうための活動の一環として、ボードゲーム業界に参入しようという話をしています。まだどのような形になるのかイメージができていませんが、周囲からの反応もよく、関わりたいと言ってくださる方がたくさんいます。これもみんなでおもしろがりながら展開できれば楽しいなと思っていますので、ぜひ。(海外展開とかもできたらめちゃくちゃ楽しいですね。)
こんな感じで、これからの未来にワクワクしながら実験感覚で社会に仕掛けていこうと妄想しています。お金儲けではない活動だからこそ、ぼくたちのアクションに多くの人が反応してくださっているような気がしています。お金が必要な事業を仕掛ける時にはみなさんが助けてくれると信じて笑。もっともっと大きな繋がりで、感動体験で溢れるおもしろい未来を、みんなで迎えにいきましょう。
<著者より御礼>
本書「自己分析より、映画観ろ。」では、2020年12月1日からのわずか1ヶ月間で【1100部ダウンロード】を記録し、Amazon売れ筋ランキング総合2位+ジャンル別ランキングでは4冠を達成しました!ささやかではございますが、購読者特典として公式LINEに登録いただいた方に【1000部ダウンロード突破記念トークライブの無料参加券】を本文中にてプレゼントしております!
さらに、映画教育の考え方を多くの方に届けられるように、教育プログラム開発や、学校・企業での研修、さらにはボードゲーム開発など、みなさんに楽しんでいただけるおもしろい企画をどんどん展開していきますので、お見逃しのないように!
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