著者:フクタタカユキ
ページ数:88
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いきなりですが、読者のみなさんはこういった文言を聞いたことはないでしょうか?
「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない。だからアクティブファンドではなくインデックスファンドに投資をしよう」
おそらく投資をしている人や投資をしようと思っている人は一度は聞いたことがあるんじゃないかと思います。そして個人的には「アクティブファンドではなくインデックスファンドに投資すること」は個人投資家における現在の一大トレンドになっていると思っています。
色々な研究でも「大半のアクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」という結果が出ているらしいですし、かの有名な投資家のウォーレン・バフェットも奥さんに「自分が死んだあとに投資をするなら、S&P500に連動するインデックスファンドに投資をしなさい」と言っているとかいないとかですし、実際にアメリカのS&P500に連動するインデックスファンドはブラックマンデーやらITバブル崩壊やら同時多発テロ発生やらサブプライムショックやらブレグジットやらトランプショックやらコロナショックやら何やかんやありながらも、結果的にここ数十年間で年平均5~7%のプラスを達成してきています。そしてアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないとされている理由は「運用コストが高くてそのコスト分だけインデックスファンドに負けること」なので、こういったことからもインデックスファンドに投資することはある意味合理的な選択と言えるとは思います。
では「アクティブファンドに投資する意味はないのか?」と聞かれたらその答えは「NO」です。なぜならば個人的に調べたところ、確かに大半のアクティブファンドと名乗っているファンドはインデックスファンドに勝てていない「アクティブと名乗っているインデックスファンド」ですが、一部のアクティブファンドは高い運用コストを十分に正当化するだけのパフォーマンスを出しているものがあると考えているからです。
僕自身はトレーダーとして生計を立てるために日銭を稼がなければならないので中長期の保有を前提として投信を買うということはしていなくて、日々短期で個別株や先物を買ったり空売りしたりしていますが、仮に「お前だけは個別株や先物の売買をしてはならない。ただし、投信を中長期で保有するのは許す」という制限を誰かにかけられて投信しか買えなくなったのならば、インデックスファンドではなくアクティブファンドを買います。
そしてアクティブファンドと名の付くものをテキトーに買うのではなく、高い運用コストを十分に正当化するだけのパフォーマンスを出しているであろうアクティブファンドを厳選してポートフォリオを組んでいくことになることでしょう。何よりも、いちおうプロのトレーダーとして、偶発性に任せて漫然とインデックスファンドに投資して相場が良ければ利益を得て相場が悪ければ損失を出すのではなく、どんな相場でも常に利益を追求していけるような工夫が必要だと思っています。
前置きが長くなりましたが、この本は「高い運用コストを十分に正当化するだけのパフォーマンスを出しているアクティブファンドを厳選する」というプロセスを各段階において明示して読者のみなさんに僕の思考プロセスを追体験して頂き、最終的には「伝聞情報に惑わされずに自分の頭で考えて系統立てた投資の意思決定ができるようになること」を目的として設定して書きました。要は「アクティブファンドの選び方」という題材を通して「系統立てた投資の意思決定」を体感してもらえたらいいなと思っています。
もちろん僕自身は今のところトレーダーとしていちおう食えてはいるもののまだわからないことだらけの未熟者という自覚なので、必ずしもこの本に書かれている僕の思考プロセスが間違っていないという保証はないですが、大学を卒業してからこの方ずっと投資の世界に関わってきて日中意識がある時はだいたい投資のことを考えているので、多少なりともみなさんのお役に立てるようなものを提示できるんじゃないかと思っています。
たぶん内容は難しくてわからない用語も頻出するんじゃないかと思いますが、わからない用語があったらその都度ググりながらじっくりと思考プロセスを追体験して頂き、伝聞情報に惑わされずに自分の頭で考えて系統立てた投資の意思決定ができるようになることの一助になれば幸いです。
フクタタカユキ
【目次】
・はじめに
・投資における基本方針
・基本用語説明
・アクティブファンド選びの全体像
・プロセス①アクティブファンドのリストアップをする
・プロセス②過去の実績を調べる
・プロセス③過去の実績をスクリーニングする
・プロセス④ポートフォリオを組む
・プロセス⑤投資を実行する
・プロセス⑥投資の経過を観察する
・プロセス⑦経過観察に応じてポートフォリオを調整する
・おわりに
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