【無料で読める】ドラゴン殺人事件 古典新訳推理

マンハッタン島北端に未開発のまま大自然が残るインウッド地区。先住民族の時代からドラゴンが棲むと畏れられてきた《ドラゴン池》は、現在ではスタム家累代の地所の一部となって遊泳用に整備されている。蒸し暑い夏の夜、スタム屋敷の客たちが遊泳池に集うと、スタム家令嬢の許婚者が飛び板からきれいな飛び込みをみせ、そのまま水面に浮かびあがることなく姿を消した。ドラゴンを一族の守護神だと信じる先代スタム夫人は、不似合いな縁談を戒めるドラゴンの怒りだと主張する。一笑に付す人びとだったが、池の水を抜いてみると死体はなく、周囲の地面に出ていった足跡もなかった。衆人環境のなかの人間消失とドラゴン伝説、世界中から収集された未知の水棲生物の謎にファイロ・ヴァンスが挑むシリーズ第７作の新訳決定版。巻末に作品理解のための訳者メモ「インウッドの風景」を収録。
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