著者:三明 秀樹
ページ数:210

¥500¥0

シリーズ石見の文芸1巻
乙子狭姫(おとごさひめ)、胸鉏比売(むなすきひめ)、天豊足柄姫(あめのとよたらしからひめ)、櫛代賀姫(くしろかひめ)等、島根県石見地方には女神を祀る神社が意外と多いようです。本書は主に島根県石見地方に伝わる神々にまつわる伝説について考察した内容となります。従来、図書館の郷土資料室に分散していた情報を一冊の本にまとめました。約127,000字。

神々にまつわる伝説なので神話としていいでしょうか。だとしたら、石見神話とでも呼べるかもしれません。正統な日本神話からは少し離れた世界がそこにあります。島根県で神話というと何と言っても出雲神話ですが、実は石見地方にも魅力的なお話があるのです。

※オンデマンド版(紙の本)の表紙はモノクロです。

※内容に誤りがありました。「狭姫と巨人」を「あどけない神話」と評したのは木村晩翠ではなく石村禎久でした。

・はじめに
・乙子のちび姫さん――乙子狭姫
・出雲を救った胸鉏比売
・構成と語り
・いわがみさん――天豊足柄姫命
・櫛代賀姫命と櫛色天蘿箇彦命
・機織りの巫女――御衣織姫
・ソはチーズのソ――新具蘇姫命
・太陽を祀る巫女か――山邊八代姫命
・苅田比古と苅田比売
・ここを海にしよう――厳島明神
・婦人病の神さま――粟島明神
・神別れ坂と神上の浜
・大麻山と高山の石合戦
・染羽天石勝神社と手力男命
・よずくの里と水上神社
・キュウリの神さまと山辺神社
・スサノオの家来――大山祇命
・ヤクロシカ――鹿足郡の悪鹿伝説
・国造りの仮住まい――志都の岩屋
・朝倉彦命神社と大飯彦命神社
・しりのないニシ
・物部神社と「生きている出雲王朝」
・カグツチ――火の神の異伝
・観音寺と龍神さん
・才ヶ峠の蛇
・中世出雲神話と須弥山の隅
・(番外編)島広――地神盲僧の創世神話
・(番外編)世界の再編――五郎王子
・あとがき

【内容】
・はじめに

・乙子のちび姫さん――乙子狭姫(おとごさひめ)
 母神が心の悪しき神に斬られてしまった。狭姫は残された種をもって旅立つ……。雁に乗って海を越え、五穀の種をもたらした小さな女神「ちび姫」の伝説です。益田市の伝説。

・出雲を救った胸鉏比売(むなすきひめ)
 出雲から流されてきた幼い姫。出自を語ろうとしない姫だが、ある日東の空に狼煙が……。神仏習合した十羅刹女の異伝的な伝説を取り上げます。江津市波子町および嘉久志町の伝説。

・構成と語り
 胸鉏比売と乙子狭姫の事例を題材に、モチーフ間の接続に難があると不思議な読後感をもたらすと分析。

・いわがみさん――天豊足柄姫命(あめのとよたらしからひめのみこと)
 八色石という怪石が大蛇と化して民を苦しめる。天豊足柄姫命は八束水臣津野命に大蛇の退治を頼むが……。邑智郡邑南町八色石の伝説。

・櫛代賀姫命と櫛色天蘿箇彦命(クシロカヒメとクシロアメノコケツヒコ)
 逢引きする女神と男神。ところが頬かむりがいつの間にか脱げて……。島根県益田市鎌手の女島と男島に伝わる微笑ましい伝説。浜田市久代町と益田市久城町を繋ぐ伝説です。

・機織りの巫女――御衣織姫(ミゾオリヒメ)
 浜田市下府町にある伊甘神社で祀られているとされる御衣織姫(ミゾオリヒメ)について。天豊足柄姫命の妹だそうです。

・ソはチーズのソ――新具蘇姫命(にいくそひめのみこと)
 大田市の吉永神社。農耕を司る女神ですが、「蘇」の字があることから近年は牧畜の神さまでもあるとか。

・太陽を祀る巫女か――山邊八代姫命(やまべやしろひめのみこと)
 大田市に二社ある山辺八代姫命神社。そのご祭神である山邊八代姫命は解釈が分かれるようです。その他、二社ある由来について。

・苅田比古と苅田比売(カリタヒコとカリタヒメ)
 大田市久手町の苅田神社の祭神である苅田比古と苅田比売について。彦と姫にまつわるお話はありませんが、神社にまつわる言い伝えがあります。

・ここを海にしよう――厳島明神
 三隅の室谷が大層気に入った厳島明神。ところが「ここを海にしよう」と言い出して……。浜田市三隅町の伝説。他、江津市黒松の「大島と宮島の神様」など。

・婦人病の神さま――粟島明神
 粟島明神は住吉大神の后だったが、婦人病に悩まされて……。島根県浜田市にある粟島神社について。

・神別れ坂と神上の浜
 大田市五十猛の神上の浜から上陸した須佐之男命とその御子たち。神別れ坂で五十猛命は妹の大屋津姫命と抓津姫命と別れた……。大田市の伝説。

・大麻山と高山の石合戦
 阿波から石見に入植してきた忌部族だが、大麻山の麓に住む小野族と衝突、岩を投げ合う……。浜田市三隅町の大麻山にまつわる伝説です。

・染羽天石勝神社と手力男命
 染羽の地は岩石がそびえていて人が住めなかった。そこで人々は手力男命に祈願したところ……。益田市の伝説。

・よずくの里と水上神社
 上津綿津美神と上筒男神が温泉津に漂着して稲作を伝えた……。大田市の伝説。

・キュウリの神さまと山辺神社
 昔、山辺神社の神さまはキュウリに乗って江川をやって来た……。江津市のお話。

・スサノオの家来――大山祇命
 スサノオの命で三隅を治めにきた大山祇命は心の優しい巨人だった……。浜田市三隅町に伝わる巨人の伝説について。

・ヤクロシカ――鹿足郡の悪鹿伝説
 古来、聖獣とされていた鹿。その中で異彩を放つ悪鹿の伝説。鹿足郡吉賀町の伝説。

・国造りの仮住まい――志都の岩屋
 大国主命と少彦名命が国づくりの仮住まいとした志都の岩屋について。

・朝倉彦命神社と大飯彦命神社
 石見には彦の名のつく神社がまだあります。大田市の朝倉彦命神社と江津市の大飯彦命神社です。どちらも式内社です。

・しりのないニシ
 笹島で竹を採っていたスサノオ命。潮が満ちてきたので小浜の砂浜で一休みしたが、いつの間にか寝入ってしまい……温泉津町のお話。

・物部神社と「生きている出雲王朝」
 島根県大田市の物部神社と司馬遼太郎の随筆「生きている出雲王朝」について

・カグツチ――火の神の異伝
 イザナミ命から火打ち石で着火する方法を得た土蜘蛛の迦具土は姫彦族に対する反乱を起こす……。江津市の伝説。

・観音寺と龍神さん
 浜田市真光町にある観音寺で祀られている龍神の祠とアシカの食害について。

・才ヶ峠の蛇
 浜田市下府町の才ヶ峠(さいがとう)について。地獄の閻魔さまとその眷属を祀る十王堂と塞の神祠がある境界的な地です。

・中世出雲神話と須弥山の隅
 仏教世界の中心にある須弥山の丑寅の角が欠けて日本に流れ着いた……。中世の出雲に伝わる神話について。

・(番外編)島広――地神盲僧の創世神話
 天竺の大王には四人の王子がいた。ある日、大王は王子たちを召して、海の向こうの中つ国を探してこいと命じた……。地神経の釈文の一つである島広(しまひろめ)。九州の地神盲僧の創世神話について。

・(番外編)世界の再編――五郎王子
 春夏秋冬・東南西北を司る四人の王子の許に末弟である五郎の王子が訪ねてきます。五郎の王子は末弟の自分にも所務が欲しいと訴えますが、四人の兄王子たちは断ってしまい……。島根県石見地方の神楽で舞われる五郎王子譚である「五神」「五龍王」についての記事です。

・あとがき

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