著者:吉澤弘之
ページ数:148
¥350 → ¥0
・19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したフランスのSF作家、J・H・ロニー兄(ベルギー出身)による人類破滅テーマのSF小説『地球の死』(1910年)の全訳版の翻訳です。
・この作品は、今回の私の Kindle 版での翻訳がおそらく初めての日本語訳となるのではないか、と思われます。
・本書の題名は『大地の死』と訳されることも多いですが、『地球の死』という訳題で訳すことにしました。
・《ロニーの短い長編”La Mort de la Terre (1910)”(大地の死)は、地球が乾燥し切った未来を舞台にしている。作中では、人類の最後の末裔が、金属製の新種族「鉄磁族」(Ferromagnetals)が自分たちに取って代わろうとしている危機に気付く。『大地の死』は人類絶滅を描いた小説の一つである。》(Wikipedia の「J・H・ロニー兄」の項目より)。
・オラフ・ステープルドンの『最後にして最初の人類』(1930年)との類似も指摘されているようです。
・《ロニー兄は着想とその使い方においてH・G・ウェルズまたはオラフ・ステープルドンとよく似ていた。》(Wikipedia の「J・H・ロニー兄」の項目より)。
■ ロニー兄『地球の死(全訳版)』(吉澤訳)からピックアップ:
《そして、地球上には、もはやたった一人の人間しかいなくなった。》
《各オアシス都市は、死ぬべき住民たちを指名した。まず、老人たちが犠牲になった。その次が、子供たちだった。ただし、この惑星地球の状態が急変する可能性もあるため、少数の子供たちは残しておくことになった。その次が、体に障害のある者たちや、体が弱い者たちだった。》
《「四十歳以上の男性も女性も、生き続けてはならない。五十歳の者を除いて、全員が本日中に集団安楽死を受け入れなければならない。子供に関しては、十家族中九家族は、子供を残すことができない」》
《このオアシス都市は、砂漠のただなかに横たわっているのだが、ここの砂漠の砂は、数千年の時の経過を経て、かちかちに凝り固まっている。着地すると同時に、やって来た者たちの心は凍りついた。一番最後に集団安楽死をした人々の死骸が、埋葬されずにそのままになっているのだ。〈赤道帯〉の住民の多くは、好き好んで屋外で死んだ。廃墟のはざまに、それらの人々の死骸が見える。恐るべき眠りに就いて、じっとしている。乾いた空気、澄み切った空気のおかげで、ミイラ化している。これらの死骸は、人類の終末を告げる最後の証人として、果てしなく永きにわたって、残り続けるだろう。》
《進めば進むほど、あたりの地勢が混沌としてくる。丘の連なりがあらわれ、次いで、ぼろぼろの平原が再びあらわれた。今や、タルグは、未知のまっただなかを航行している。何度も繰り返し、彼は、地面すれすれまで降下した。眩暈(めまい)のなかで、彼は、新たな段階を乗り越えるべく駆り立てられている。》
♯ 刊行後のバージョン履歴:
このバージョン (v01_p04):
・ver. M 1 (v01_p04):改訂版。誤訳の修正(カスガさんのご指摘を受けて)。訳語の修正。
・ver. M 1 (v01_p03):改訂版。訳文の修正。誤植の修正。
・ver. M 1 (v01_p02):改訂版。訳文・訳語の修正。訳注を2つ追加。誤植の修正。
・ver. M 1 (v01_p01):初版。
※ ご購入後に出た改訂版の入手方法については、Amazon に問い合わせてみてください。
お手数ですが、よろしくお願いします。
※ 目次は、この Kindle 本の巻頭と巻末の2ヶ所にあります。
【各巻末の「お知らせ」コーナーについて】:
・巻末の「お知らせ」コーナーで、私の〈翻訳の電子書籍〉シリーズからの、それなりに長めの抜粋を並べてある場合があります。
■〈翻訳の電子書籍〉シリーズのラインナップ(2021年12月現在):
[※ おおよそ、刊行年月が新しいものから並べてあります]
[※ モノクロは、私の訳文のみのバージョン。セピアは、私の新訳と旧訳との一部対照バージョンを含むもの。フルは、フランス語原文の一部または全文と対照したバージョンを含むもの]
・『地球の死(全訳版)』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『兵士ジヴルーズの謎——二つの愛と変容——(全訳版)』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『J・H・ロニー兄のサイエンス・フィクション (主に第1章のみの翻訳の集成)』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『兵士ジヴルーズの謎(第1章〜第3章のみの翻訳)』[Kindle 版] (ロニー兄) ※ 第3章を追加。
・『無限のかなた——火星への旅——(第1章のみの翻訳) [モノクロ]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『未知なる力——光の死、世界の死——(第1章のみの翻訳) [モノクロ]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『人外魔境——ヘアトン・アイアンキャッスルの冒険(プロローグのみの翻訳) [モノクロ]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『クシペユスとの戦い——第1章 〜 第3章 [新訳のみ〔モノクロ〕]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『もう一つの世界——第1章 [新訳のみ〔モノクロ〕]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『女性ヴァンパイヤ——第1章 [新訳のみ〔モノクロ〕]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『地球の死——第1章(砂漠を駆けめぐる言葉) [モノクロ]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『6つの物語 [モノクロ]』[Kindle 版] (メリメ、ロニー兄、モーリス・ルナール)
[※ この『6つの物語』は、〈ショートショートひとつだけ〉の6作品を収録した Kindle 本です。対訳版等は含まず、私自身による日本語の訳文のみです]
・『死の蝶(パピヨン) [モノクロ]』[Kindle 版] (モーリス・ルナール)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『彼女(エル) [モノクロ]』[Kindle 版] (モーリス・ルナール)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『甘ったるい話 残酷な愛 [モノクロ]』[Kindle 版] (モーリス・ルナール)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『ヴァリアントの世界で [モノクロ]』[Kindle 版] (ロニー兄)
・『マリーの庭 [新訳のみ〔モノクロ〕]』[Kindle 版] (ロニー兄)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『ルクレツィア・ボルジアの亡霊の棲む家 [新訳〔セピア〕]』[Kindle 版] (メリメ)
・『ルクレツィア・ボルジアの亡霊の棲む家 [新訳 プラス 対訳〔フル〕]』[Kindle 版] (メリメ)
・『カルル十一世の幻視 [新訳のみ〔モノクロ〕]』[Kindle 版] (メリメ)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『カルル十一世の幻視 [新訳〔セピア〕]』[Kindle 版] (メリメ)
・『カルル十一世の幻視 [新訳 プラス 対訳〔フル〕]』[Kindle 版] (メリメ)
・『トレドの真珠 [新訳 プラス 対訳〔フル〕]』[Kindle 版] (メリメ)
〈ショートショートひとつだけ〉
・『イールのヴィーナス(地獄のヴィーナス) [新訳〔フル〕FDC 版]』[Kindle 版] (メリメ)
・『地獄のヴィーナス(イールのヴィーナス) [新訳〔フル〕]』[Kindle 版] (メリメ)
[※ これまでは、以上のラインナップのうちで本邦初訳と思われるものをベータ版と呼んでいました。『未知なる力——光の死、世界の死——(第1章のみの翻訳)』以降は、本邦初訳と思われる場合でも、「ベータ版」と呼ばない場合があります]
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