著者:樺沢 紫苑
ページ数:185

¥1,250¥0

26年かけてエヴァンゲリオンがついに完結。

2021年、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:』(以下、『シン・エヴァ』)によって、エヴァンゲリオン(以下エヴァ)・シリーズがようやく完結しました。

庵野秀明監督の苦節の26年。ファンにとっても、待たされに待たされた上での完結。
『シン・エヴァ』を見た人の多くは、シリーズが完結した「安堵感」「安心感」、そして大きな「感動」「感慨」を抱いたと思います。

しかしながら、「結局、人類補完計画って何?」「渚カヲルの正体は?」「巨大化したレイの顔、エヴァビジョナリーって何?」「シンジとマリはカップルになったの?」「カヲルとレイはカップルになったの?」など、細かい疑問を残した人は多いはず。

というか、疑問を残さなかった人はいないと思います。

物語として完結したものの、私たちの頭の中で反芻し、「これは、こうじゃないか」と考えてしまう。これこそが、「エヴァンゲリオンの醍醐味」です。

心に傷を持った人物たちが集まり、葛藤し、互いにぶつかり、癒され、成長していく。

「傷ついた心」「満たされない心」「低い自己肯定感」、そして「うつ」「絶望」。それらを乗り越えていく壮大な物語がエヴァンゲリオン・シリーズ。

その描写は非常に繊細で深く、一筋縄ではいきません。
そこで、精神科医の登場です。

精神科医であり、『アウトプット大全』シリーズ累計80万部のベストセラー作家。
『父滅の刃〜消えた父親はどこへ』(みらいパブリッシング)など、映画についての心理分析の本も出し、映画館で年間約100本の映画を鑑賞することを35年以上続けている。

精神科医であり、映画評論家である樺沢紫苑が、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:』とエヴァンゲリオン・シリーズについて、心理学、精神医学、さらに聖書や象徴といった視点から解読を試みるのが、本書『エヴァンゲリオンの心理学』です。

本書は、エヴァンゲリオン・シリーズの「解読」「謎解き」で終わるのではなく、心理学について学びながら、「人との関係の作り方」「過去との向き合い方」「親との向き合い方」「絶望からの立ち直り方」など、生きていく上での様々なヒント、気付きが得られる本として編集しました。

本書は単なる映画解説ではない、エヴァンゲリオンの疑問、謎を解消しつつ、「心理学」と人生を「より楽に生きるための対処法」を学ぶ類のない一冊となっています。

本書で紹介している心理学
父性・母性、父親殺し、シャドウ(影)、アドラーの目的論、フロイトの原因論、ハリネズミのジレンマ、機能不全家族、アダルトチルドレン、二分思考、否認と受容。自己開示の返報性、底つき体験、など。

目次

はじめに
●26年かけてエヴァンゲリオンがついに完結/●「残された疑問」を心理学で解読

第1章 記号と象徴〜テレビ版「最終2話」の波紋
●樺沢とエヴァンゲリオンとの出会い

(1)「最終2話」をどう解釈する?
●最終話、そして混乱、失望、怒り/●心理学的には収束している「最終2話」/●「もう1つの人生」=「シャドウ(影)」/●「朝の風景」が象徴するもの/●「機能不全家族」の再生の物語/●1人なのにチルドレン(複数形)の謎/●「記号」は主役ではない……

(2)映画には2つの見方がある
●「最終2話」がファンに受け入れられなかった理由/●「考える余地」のある映画がおもしろい

第2章 父性と母性〜心理学という武器

(1)心理学は武器になる
●エヴァに登場して有名になった心理学用語/●「心理学的に解釈する」とは?

(2)生きられなかった人生を生き直す
●「生き直し」としての新劇場版/●再起、再生

(3)フロイトの原因論VSアドラーの目的論
●『シン・エヴァ』の後味が良い理由/●心理学者フロイトとアドラー/●目的がわかれば、対処法が見えてくる/●過去よりも未来を見よう!

(4)父性と母性の補完計画
●ついに出た! 父性作品としてのテレビ版エヴァ/●母性映画主流だった日本アニメ/●「父親殺し」全盛のアメリカ映画/●父親を乗り越える/●暴走する父性〜碇ゲンドウ/●父性、母性とは何か?/●「良き父親像」と「悪しき父親像」/●「自粛警察」は、父性の暴走/●包み込む優しさ=母性

第3章 「第3村」の解読

(1)ジブリ映画と父親殺し
●「第3村」はジブリ映画の世界!?/●「第3村」は「死後の世界」?/●スタジオジブリ出身の庵野監督/●ポスト宮崎駿は誰だ?/●『風立ちぬ』は庵野監督のリハビリだった!? /●「カプローニ=宮崎」「堀越二郎=庵野」で見ると?/●「来て」から「生きて」に/●宮崎駿の圧倒的承認/●父への感謝

(2)母性の世界、あるいは天国
●たたみかける「母性」描写/●レイが「何?」を連発した理由/●なぜの連発と子供の心理/●挨拶はコミュニケーションの入り口/●名前=アイデンティティを獲得したレイ/●「第3村」=「生の世界」

(3)「3」のテーマと第3の選択
●「そうでない選択」がある/●「第3の選択」で危機を突破する/●「二分思考」は自分を追い詰める!/●「第3の選択」を実行していた庵野監督/●「第3の選択」と母性、父性/●「第3の選択」が人を救う

第4章 シンジが急成長した理由 受容・承認の連鎖

●親子対決、まさかの結末/●「弱さを認める」の心理学的な意味/●「どん底」はターニングポイントになる/●否認の心理とは/●自己否定から自己肯定へ/●否認=0、受容=∞/●シンジは、いつ自分の弱さを認めたのか?/●1人目 レイの承認「名前をつける」意味/●2人目 アスカの承認/●「自己開示の返報性」で人は親しくなる/●3人目 マリの承認/●4人目 ミサトの承認/●仲間たち全員からの承認

第5章 父性と母性の補完計画 〜承認、受容、与える
●ゲンドウが求めたものは?/●アスカが求めたものは?/●シンジの中にいたユイ その意味は?/●シンジの中にあった母性の種/●「受容」と「与える」の連鎖/●父性と母性のバランス/●『千と千尋』のオキシトシン的承認/●父性的承認、母性的承認/●母性が強すぎる弊害/●父性と母性の補完計画

第6章 復活するシンジと庵野秀明

(1)タイトルが「シン」になった理由
●4作目でタイトルがガラッと変わった!/●庵野監督の告白/●絶賛された『シン・ゴジラ』/●庵野監督の進化と作品の変化

(2)「エヴァのある世界」から「エヴァのない世界」へ
●ネオンジェネシスって何?/●ヱヴァのない世界とは?/●カップリングではなく、父性・母性エンディング

第7章 マリとシンジ 〜マグダラのマリアと救世主

(1)2人のマリア
●新キャラ「マリ」はなぜ追加された?/●マリアは2人いる/●三位一体=トリニティ=聖母マリア/●『マトリックス』とトリニティ/●聖母マリアとマグダラのマリアは「対」をなす/●母性愛は2つある

(2)マリとシンジは、カップルになったのか?
●カップル説は本当か?/●手を握ったらカップルなのか?/●マリの関わり方は「母親」か「恋人」か?/●マリのモデルは安野モヨコ?/●モヨコさんが語る庵野秀明とは?/●母性テーマを強調する

(3)「救世主」としてのシンジ
●「わんこ」に隠された意味/●救世主には条件があった/●「0」から復活したシンジ

第8章 渚カヲルとは何者か?

●カヲルとレイはカップルになった?/●息子とピアノを弾きたかった……/●「鏡の戦い」=「ピアノの連弾」●/カヲル=ゲンドウを示唆する数々の証拠/●カヲルはゲンドウのクローン!?/●カヲルは誰に似ている?/●Good Father(良き父親像)としてのカヲル/●渚カヲルが「中性」的な理由

第9章 0から∞(無限大)、そしてリピート

●神の力は「無限大」/●0→∞に込められたもの/●無限大とウロボロス/●円環構造とウロボロス/●リピートされる物語/●カヲルは複数人いた!?/●「定められた円環の物語」=「ヒーローズ・ジャーニー」/●少年が神話になった!

第10章 ラストシーン「宇部新川」〜「私たちの物語」としてのエヴァンゲリオン

●批判するなら正しく解釈しよう/●「宇部新川」のシーンは、後日談か?/●「恋愛の世界」から「承認の世界」へ/●DSSチョーカー(=トラウマ)からの解放/●現実世界へと駆け出す2人/●庵野監督のメッセージとは?/●エヴァの呪縛からの解放/●アスカやレイは、私たちの中にいる/●神話から現実へ/●さようなら、全てのエヴァンゲリオン/●現実に戻った庵野秀明/●シンジとマリがカップルに見えてしまう理由

さいごに

── 文字数 90,022文字、図版26点(通常のビジネス書1冊分のボリューム)

シリーズ一覧

  • 同シリーズの電子書籍はありませんでした。

 

  Kindle Unlimitedは、現在30日間無料体験キャンペーンを行っています!

この期間中は料金が980円→0円となるため、この記事で紹介している電子書籍は、すべてこのKindle Unlimited無料体験で読むことが可能です。

Kindle Unlimited 無料体験に登録する