【無料で読める】ハッピーリタイアメント入門 その24 コロナ時代をしたたかに生き抜こう！

　2020年の初めごろにはコロナの影響がここまで私たちの日常生活に大きな影響を及ぼすとは誰にも想像がつきませんでした。東京オリンピックが終わり、よく開催できたなというのが庶民の実感ではないでしょうか。

　オリンピックでは日本のアスリートたちの活躍でつかの間の幸せと高揚感を味合わせてもらいましたが、そんな浮かれた気分でいる間に、コロナの感染者は激増し、医療崩壊が叫ばれるような深刻な状況にまで世の中は変化してしまいました。

　2020年の4月ごろ私たちは確かにコロナにおびえてはいましたが秋ごろには終息すると誰もが信じて疑わず、外出や宴会を自粛し、我慢の数か月を耐え抜いてきました。数か月の辛抱でコロナから解放されると信じていたからこそ我慢もできたのです。政府はGOTOトラベルキャンペーンを展開して、冷え込んでしまった経済に活力を蘇らせようとしました。また、コロナが一年以内に終息すると信じていたからこそ、オリンピックを1年延期させる決断を下したわけです。

　ですが、2020年の春ごろに私たちが抱いていたコロナに対するイメージはすべてが甘い幻想に過ぎなかったことを今まさに思い知らされています。政府が発令する緊急事態宣言ももう5度目を数え、無策ぶりを批判する評論家も大勢いますが、そのような批判は結果論にすぎず、いくら批判を浴びせても、コロナが退散してくれるわけではありません。誰もがコロナに負けないように懸命に頑張っているわけですから、批判する暇があったらもっともっと自分たちでできることをどんどんやっていくべきではないでしょうか。

　人類が今までに経験したことのない伝染病に遭遇しているわけですから、人類全体で協力し合いながらこの危機を乗り越えていくしかないと思うのです。

　私たちのように少ないながらも年金をもらい、それで生きていける年代の人間はコロナの影響による景気の悪化や、失業問題に悩まされることはあまりありませんが、若い年代の人たちにとっては、コロナに感染しないために自由を奪われることに加えて、経済面での不安とも戦っていかなければならない状況は非常につらいものがあると思います。

　いままではお金さえあれば幸せになれると誰もが信じて疑いませんでしたが、現在はお金よりも何よりも自分自身の健康の尊さに気づかされると同時に、お金がなくても幸せの光を見出しながら、したたかに生きていく姿勢が求められる時代に急激に変化してきました。

　コロナ前とコロナ時代とでは価値観も生活様式も大きく変化しましたが、健康を維持し、お金に頼らない幸せ探しができる人間がうつ病などの心の病にも侵されることなく、人間社会を明るく照らして行ける存在になるのではないでしょうか？

　まさにコロナ時代をしたたかに生きていける人間になることこそが我々に求められている大命題であると私は最近になって確信しています。本書ではそんな大命題に挑んでゆくために私が最近見つけたささやかなヒントを示してゆきたいと思います。

　余談ながら、私はコロナの脅威が始まって以降約半年間で体重が5㎏も増えてしまいました。コロナに感染することを恐れて外出頻度や運動をする頻度が激減したためです。ですが、2020年のクリスマスイブ以降、生活習慣を変える決意をし、100日間で10㎏の減量に成功し、現在もその体重を維持し続けることができています。さらによかったことは持病の高血圧と腎臓病が劇的に改善され、かかりつけのお医者さんからは血圧を下げる薬はもう飲む必要はありませんとお墨付きもいただくことができたことです。腎臓病のほうはいずれは人工透析が必要になるリスクがあると言われていましたが、腎臓の働きは健康な人のレベルにまで改善され、お医者さんをびっくりさせてしまいました。

　自慢話でもないし、このことを狙って生活習慣を変えたわけでもありません。ただなんとなく5㎏も増えた体重に危機感を持って、もがいた結果、驚くような良好な健康状態を手にすることができただけです。薬を飲んで健康になったのではなく、自分でもがいて健康を手繰り寄せたのかもしれません。そんな小さな成功体験が、私にコロナ時代をしたたかに生き抜く勇気をもたらしたのです。

　この体験はぜひとも同年代のリタイア世代の方々に共有していただき、幸せな余生を過ごしていただくためのヒントにしていただこうと思い立ちペンを執ることにした次第です。
　

杉山三郎