【無料で読める】水上ガール！１: 養成学校編

幼い頃から姉にそう言われ育てられた桟敷原莉奈は、高校卒業を間近に控えた十八歳の冬、難関のボートレースの養成学校に見事合格を果たした。しかし、そのタイミングで姉が不慮の事故に合ってしまう。
一命をとりとめたものの生涯半身不随の恐れがあるほどの事故を負った姉。幼い頃に両親を亡くしていた莉奈は、唯一の肉親である姉の蒼に対して、これからの医療費や生活面を考えボートレーサーになることを断念する旨を伝える。
すると、血相を変えた姉から生まれて初めてと言って良いほどの叱咤を受ける。莉奈は、姉の思いを受けて養成学校に行くことを改めて決意するが、その反面、莉奈には幼い頃から不思議に思っていることがあった。
自宅は、ボートレースの聖地と呼ばれる海之江ボートレース場の近くにある高層マンション。ベランダからボートレース場の水面が一望できる。また、両親も居ない中、姉も殆ど働いていない。このような状況下なぜ、生活ができているのか。

それは、父と母が残してくれた財産があるの。あなたは何の心配もしなくて良いのよ――。

姉にそう言われ続けてきたが、莉奈は、何か喉仏に子魚の骨がずっと刺さっているような――そんな胸中で過ごしてきた高校生活を終え、いよいよボートレース養成学校『やまと訓練校』がある福岡県に旅立った。

訓練校では、人間形成も含めた厳しい訓練が待ち受けていた中で退学者も続出。それでも莉奈は、自分自身に負けそうになりながらも同期で元女子プロサッカー選手だった王島涼子や父親がボートレース界のトップに君臨する大門健一の息子である大門龍太郎や同じく渚礼二などと一緒に切磋琢磨しながら日々成長を遂げる。

そんな同期メンバーとともにボートレースを通じて成長しながら、莉奈は進級試験に臨むが、莉奈の知らないところで唯一の肉親で大好きな姉の碧が莉奈をボートレーサーとして世に送り出したい理由が明らかになっていく。

一人の純粋で天真爛漫な少女が魅せるボートレース小説（第１巻　養成学校編）が今、ここに３秒、２秒、１秒、今スタート！