著者:加賀山 耕一
ページ数:127
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もう黙っていられないと、『少年野球は誰のもの?』の著者が放つ、コロナ渦を独自に描いた28編のコロナの「詩」。
風刺、逆接、毒舌、皮肉、パロディ満載。
にやりと笑うか、ムっと怒るか、あきれるか?!
一風変わった文芸の世界を味わっていただければ、いまの世の中がほんのちょっと違って見えるかも知れません。
【著者から一言】
「いったいどんな詩なんだ」と思われる読者もいらっしゃると思います。本紹介の下部にサンプル1編「マンボーの女」を掲載してもらいましたので参考にしてください。
合わせて【目次】もご覧いただき、少しでもピンと来て、なんだか面白そうであれば、他の27編もお読みいただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いします。
【まえがきより抜粋】
・・・私の65年余の人生、大小さまざまなまやかしを見聞きしてきたが、2020年から始まった世の中の動きほど大がかりなまやかしに接したことはなく、守れ守れといたわられる高齢者のひとりとして、このまま黙っていることに密かな罪悪感を覚えた。
ご存知2011年の「ただちに健康に影響はない」という官房長官の弁などバレバレで、誰もが見抜き、子どもが口真似するくらいの状況だったが、今度ばかりはそうはいかないだろう。
(中略)
あたりをうかがい時を逸してはならないと、書き続けた詩をまとめたものが本書『コ口ナ日和』の28編です。
それぞれの詩のタイトルを見てもらえれば、今般のコ口ナ渦を経験している人なら、なんだか昨今見なれ聞きなれた「あの言葉」に関連していることが解るはずです。
感染拡大ばかり報じて恥じない新聞テレビに辟易している皆様にとっては、昨今の状況が別次元の出来事に置き換わる「抽象画」のごとき戯作としてお読みいただるかと。
詩集としては異例の構成として、恩師の袋小路戻郎先生と立川酒象師にお願いし、詩一編ごとに本音で語る【解説コメント】を付けてもらった。
(中略)
詩集の読まれ方に、作者がとやかく言える筋合ではないが、遠慮することはありません、どうか、
「この詩、なんか変、おかしくない?」とか、
「わかるようで、わかんないね」など、
正直な感想や疑問の先にある、おかしな現実の世の中の動きについても隣人と語り合ってもらえたらと思います。
【目次】
・八密
・海星(ひとで)の首かざり
・二塁ぺース
・回木
・爆沈船団
・毒消しみくじ
・椿の花
・犬をまたぐ
・大ナンパ
・観戦列島
・仮面舞踏会Ⅱ
・黒
・ドライブスルー観戦
・黄金虫
・十九人の小人
・リトマス氏
・りもうとよ
・鼻毛の呪文
・ブースター節酒
・ソーシャルダンス
・湖面テーター
・かかってこい
・目食時代
・分団の水
・マンボーの女
・緩めたるジャケット
・某国大利天
・プロキオン
【著者紹介】
1956年、東京都足立区千住生まれ。明治大学中退。
学習塾講師を15年間つづけ文筆業に転身。
詩誌『鳩よ!』(マガジンハウス)ほか各種雑誌の企画編集執筆に従事する。四国八十八ヵ所を歩いて巡ること3度。
『少年野球は誰のもの?』(宝島社)
『子供にぴったりの塾を選ぶ本』(中経出版)
『さあ、巡礼だ』(三五館)
『お遍路入門』(ちくま新書)
『お遍路さん』(平凡社新書)
などの著書がある。
現在は故郷の空き家を再生し若きクリエーターを招致する活動に取り組む。
趣味は空き家DIYとオペラと母親介護。
【本書掲載の詩サンプル】
マンボーの女
釣り上げた小魚を大きな{生簀(いけす)に放したまま
アタイは銀の包丁を握って真名板をたたく
トントントン 都かトントン
また小魚が寄ってきて
アタイに聞くの
どうされますか
トントントン 都かトントン
アタイは真名板をたたくだけ
魚をさばく訳じゃない
なんにもなくても
アタイがたたけば
みんなアタイを真似するの
やめられないわ
とまらない
生簀の小魚どうなろうと
知るもんですか
トントントン 都かトントン
鼻血を出した小魚は
きっと検査でおだぶつね
あくびをもらした小魚は
首をくくってもらいましょ
アタイがいなけりゃはじまらない
ハンコとアンコの{鬩(せめ)ぎ合い
海からあがってごきげん斜め
雨がふったら家から出るな
咳をするなら息をとめろ
トントントン 都かトントン
アタイのまわりに寄ってくる
ねくらな小魚アタイはきらい
もちろんヒラメも大きらい
アタイの顔より大きいなんて
おんなじ魚で許せる訳がないでしょう
アタイのまわりに寄ってくる
できた小魚はしつもんする
どうされますか
いつですか
それでいいのよ、そうしなさい
トントントン 都かトントン
竜宮城の話でしょ
やめときなさいクフ王に
笑われたってアタイは知らない
あの日あの頂上から見た景色は
いつか深海に入りびたり
アタイの仲間に言って聞かすわ
わるいのはアタイじゃないと
トップでなくっちゃダメなんだと
で、これからもしばらくは
やっております
やってます
そう見えますように
みせしめ みせしめ
いじめてみせる
アタイはあんたなんかに負けません
生簀の小魚死ぬまでは
死なない程度に心地よく
トントントン 都かトントン
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