著者:おりべまこと
ページ数:97
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どんな夢も、どんな未来も、めしを食わなきゃ始まらない。食うことは明日へ向かって生きること。
どんなに悲しんだり、落ち込んだり、深刻に悩んだり、もう死にたいと思っていても、人は腹が減ればめしを食います。食っているとき、人の「生きる」という意欲はモリモリ表に出ます。
「明日もがんばるぞ。さあ、今日は何を食おう?」
そうして食っためしが、あなたの、私の、血となるり肉となり、心になっていく。
読めば食欲がわき、元気が出る面白エッセイ。どうぞご賞味ください。
もくじ
誰が死んでも食休み
原宿・穏田のお米マイスター
「鳥のように自由に」と八十歳になって語れるか?
食べ物を扱うのは神聖な仕事なんだ
新潟のビジネスホテルで魚沼コシヒカリを食べて幸福について考える
にいがたラーメンVSタレカツ丼
名古屋コーチンをめぐる冒険:ふしぎ・まったり小牧編
楽しさ・学び・癒し満載の八王子・磯沼牧場
東京唯一のブランド和牛・秋川牛と、むかしみらいTOKYO
カフカのワイン
長野・伊那谷で昆虫を食べる
豊橋ウズラはキャラ弁の名優
茨城県の納豆―カレーーアニメ―あんこう―ライブの螺旋現象
歴人めし
武田信玄の陣中食ほうとうは清少納言が愛した「はうたう」
坂本龍馬の最後の晩餐は、本当に軍鶏鍋たったのか?
うなぎ屋のロイヤルカスタマー平賀源内・一行千両の大発明
ブタめし大好き 最後の将軍・徳川慶喜
高杉晋作が愛した妻と鯛の押ずしと潮汁
篤姫のお貝煮と「御殿女中」
徳川家康提唱「日本人の基本食は麦飯と味噌」
山内一豊の生食禁止令から生まれた?「カツオのたたき」
スイーツ大好き織田信長の「信長巻き」
日本のトマト革命
群馬・横川のひもかわうどん
アザラシの入江でヤギの乳を搾ってチーズを作る娘について
サンマの未来はどうなるのか?
葬儀屋さんの黒にんにく
ヴェジ中心食研究への挑戦
人類を進歩させたのは「やばい食べ物」
とりあえずロックダウンに備えて備蓄
杉並グルメ テイクアウトOK店取材
夏みかんのお菓子「夏柑糖」
富士山と富む水の「ベリーの森」
オバマのタカハシさんちの娘は人魚の肉を喰った
「みんなが作ってる カエルのから揚げレシピ」の衝撃
なぜ日本にカエル食が定着しなかったのか?
日本のごはんがおいしいシンプルな理由
●ちょっと立ち読み
武田信玄の陣中食ほうとうは清少納言が愛した「はうたう」
腹が減っては戦が出来ぬ。
戦国時代、デリバリーやコンビニもない戦場で、どうやって兵にめしを食わせるかは指揮を執る側にとって、士気を高めるための最重要課題だった。
「早い、うまい、あったかい。みんなが腹いっぱいになれる陣中食はないかー!?」
どの武将もそうした問いかけを何度となく繰り返したことだろう。
「戦国最強の武将」と恐れられた武田信玄も事情は同じ。強い軍隊にするためには、兵が満足できるものを食わせなくてはならない。
そこである家臣がこう進言する。
「殿、平安の昔から“ほうとう”なるものがございます」
ほうとうのルーツは、奈良時代に中国から入ってきた「はくたく」。
小麦をこねて長く伸ばしたものをさくさく切って煮た食べ物で、平安時代には貴族の宴会料理になった。
清少納言は『枕草子』の中で「はうたうまいらせむ」と書いており、これは「ほうとうをプレゼントいたします」ということだ。
信玄の本拠地・甲斐の国(山梨県)は山に囲まれており、あまり米づくりに適した土地とは言えない。そこで人々は畑で大豆やそば、小麦などを作り、それらを材料にした「粉食」を食べていた。ほうとうは地元の材料を使った、この粉食のひとつである。
運びやすく、保存しやすく、とにかく鍋にぶちこんで、ぐつぐつ煮れば一丁あがり。陣中食としては願ったりかなったりの食べ物だ。信玄も勇んでほうとうに軍配を上げた。
上流階級のごちそうだったほうとうが、戦国時代では武田軍の陣中食として重宝され、江戸時代には甲斐の名物に。そして今では、山梨の郷土食として愛されるようになった。
最も武将らしい武将として、さまざまな伝説を残す信玄だが、このほうとうが山梨の郷土食として根付いたことが、じつはいちばん誇らしい功績なのかもしれない。
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