著者:かのまた まさお
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 若い世代の間で読書離れが進んでいます。特に文学作品を読む時間が年々少なくなりつつあります。そのために小中学生の読解力の低下が深刻な問題になっています。学校の授業についていけなくなった児童、生徒の事例も数多く報告されています。義務教育を修了した時点で、教科書レベルの文章が読み取れない生徒は全体の25パーセントに達しています。さらに高校生になっても教科書が読めない、新聞が読めないという生徒が以前よりも増えているそうです。
 一方で、なぜ本を読まないことがそんなに問題なのかという疑問の声もあります。本以外のメディアから十分な情報を得ることができるのに、わざわざ本を読む必要があるのかという声です。しかし本を読む目的は情報を得ることだけではありません。たとえば小説の場合、そこに描かれていない状況まで把握し、微細な会話の綾から心情を慮り、言葉の裏に隠された真実を推察するという読書本来の楽しみがあります。残念ながらその楽しみはなかなか若い人に理解してもらえません。
 そもそも読書離れの原因は何でしょうか。「ゆとり教育」の弊害ともITの進歩による「活字離れ」とも指摘されています。真の原因はわかりませんが、実際に若い人々と接すると幼い頃からの読書体験が驚くほど少ないことが感じられます。本を読まないことは単に知識が乏しくなることを意味するだけではありません。豊かな発想力、深い思考力、鋭い洞察力を培う大切な機会を失ってしまうことでもあるのです。そうした能力の欠如は、国語の問題だけでなくさまざまな教科の試験を解く上で大きな障害になります。
 もちろん学校の成績を上げるため、試験に合格するためだけに本を読むことは正しいとは言えません。実利的な目的のために読書せよと言われても、本が面白くなければ読みたいとは思いません。読書とは本来読みたいから読む、面白いから読む、興味あるから読むという自発的な動機があって初めて成り立つことです。
 そこで若い皆さんが古今の名作を読んでみたくなる一助となるように「1000字で読む文学の話」シリーズを出版いたします。まだ読んだことのない本に興味をもってもらうこと、これまで読んだ本をもう一度読んでみたいと思ってもらうこと、それを願って文学作品の魅力を伝えていきたいと思います。本当に良い本に出会えることは人生のおける大きな喜びです。若いうちにそうした喜びを感じてもらえるならば私自身も幸甚です。
 1000字とはどの程度の文章かと思われるかもしれません。参考までにこの紹介文が約1000字です。

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