著者:菊沖 薫
ページ数:75

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本書は”心の旅”の記録である。『エロスとプシュケ』のギリシャ神話になぞらえ、見失った愛の真実を求めて降り立った地はメルボルンだった。「旅」の過程を通してあるカタルシスを得ようとするのは、女性特有の行動体系の一つといえよう。
ただしこの段階において、著者はすでに自身の人生に降りかかってきた出来事については決着をつけているように見える。それゆえに、本書からは余分な感傷が払拭され、達観した大人の視点だけが残った。
 ギリシャでの滞在経験ゆえか、随所で広角な視野が拓けている。教育や若い世代についてなど、「日本」を「外」から見た怜悧な観察は鋭く興味深い。社会的に大きな事件は注視するが、日々の何気ない出来事は視野を素通りすることもままあり、そうした日常的な歪みへの感応力の鈍化を意識せずにはいられない示唆が、本書には散りばめられている。
「愛の心理」を成熟した女性の視点で探り、ギリシャ神話の調べに乗せて奏でた上質なエッセイ。

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