【無料で読める】クラシック音楽小論集 II (MVSICA)

　本書は、主にクラシック音楽について自由な視点からアプローチしてみたい、という趣旨で2000年から2002年にかけて執筆した小論36編を収録しています。

　初出は『あんさんぶる』（カワイ音楽教育研究会）第399〜434号所収、『秋山裕彦の[ちょっとからくち]名曲あらかると』（131〜166）で、その後、『bcc: bogomil‘s CD collection』と題して、筆者の個人ウェブページに掲載していました。今回、Kindle本化するにあたり、全体を見直し、加筆修正を行いました。

　『あんさんぶる』誌の連載では、毎回、CDを紹介しましたが、最近では、本書で取り上げた曲の多くがYouTubeやamazon musicなどで視聴することができます。そのため、検索しやすいように、作曲者名や曲名には欧文表記を併記しました。また、いくつかの曲については、YouTube動画へのリンクを記載しました。スマホ用Kindleアプリやパソコン用Kindleアプリでは、リンクをタップ／クリックすればYouTubeにジャンプします（Kindle 電子書籍リーダーではリンクは機能しないようです）。

　ただ、YouTubeの音声は概して低品質で、特にチェンバロやヴァイオリンなどのデリケートな楽器では音質劣化が目立ちます。あくまで参考程度にお聴きください。またリンク切れの際はご容赦ください。

　本書でタイトル、レーベル／番号を挙げて紹介しているCD, LD, LP, DVD, 書籍は、筆者が選択し、自費で購入したものです。レコード会社等の試聴盤提供や資料提供によるものではありません。

目次

はじめに

01. ピアノ生誕300年記念 ——— ヨハン・クリスチャン・バッハ：《６曲のソナタ》作品５
02. ことわざもいろいろ———フランク：ピアノ作品
03. アマチュア侮るべからず———ボロディン：交響曲第２番
04. 自分は自分、他人にはなれない ——— 管弦楽作品のオルガン編曲、どこまで聴けるか
05. 歌は抽象化されていく ——— フォスターの歌曲をめぐって
06. 作曲者自身の演奏がベスト？———-「歴史的演奏様式」の落とし穴

07. 円形競技場、剣闘士、そしてオルガン ——— レスピーギ：《ローマの祭り》
08. オペラに見る女性像 ——— 《エウリディーチェ》、《トスカ》、《ルル》
09. 巧みな話術には気をつけよう ——— 《フィガロ》と《三角帽子》
10. プレクトラム＝弦をはじくツメ ——— 2000年に発売されたチェンバロのCD３点を聴く
11. バッハの「未完成」 ——— 《フーガの技法》BWV 1080
12. クラヴィコードの静かな世界 ——— バッハ：パルティータ第６番

13. 20世紀の教会音楽 ——— ペンデレツキ《ルカ受難曲》
14. 「癒しの音楽」への疑問 ——— プロコフィエフ：《サルカズム》
15. 子離れできない母親の話 ——— モーツァルト：《魔笛》
16. 元祖音楽療法？ ——— クーナウ：《聖書ソナタ》
17. 100円CDの「運命」は？？？ ——— カラヤンのベートーヴェン第５を聴く
18. 音楽は嘘がつけない ——— グリエール：《コロラトゥーラ・ソプラノと管弦楽のための協奏曲》

19. エスタンピーからタンゴへ ——— ピアソラ：《チキリン・デ・バチン》
20. あんな本はいらない ——— ペツォルト：２つのメヌエット
21. サリガマパダニサ ——— パキスタンの音楽家ヌスラットを聴く
22. リコーダー侮るべからず ——— バッハ：《ブランデンブルグ協奏曲》第２、４番
23. 叫びとしての歌 ——— エリック・ドルフィー：《ファイアー・ワルツ》
24. 好ましい音・好ましくない音 ——— エッシェンバッハの《バイエル》を聴く

25. バッハ：無伴奏ヴァイオリンのための《トッカータとフーガ ニ短調》？
26. 第５？いや、第10！ ——— ショスタコーヴィッチ：交響曲第10番
27. カストラートによるカストラートのための ——— アレグリ：《ミゼレーレ》
28. ツタンカーメンのトランペット ——— マイルス・デイヴィス：《カインド・オブ・ブルー》
29. 最古のクラシック音楽？ ——— 古代ギリシャの《アポロン賛歌》
30. 知られざるピアノソナタの逸品 ——— クレメンティ生誕250年

31. 名ピアニストの条件 ——— セロニアス・モンク：《ラウンド・ミッドナイト》
32. バッハ「平均律」のルーツ ——— フィッシャー：《アリアドネ・ムジカ》
33. 未来の名曲を育てよう ——— ブクステフーデ：組曲 ハ長調
34. 今年の年末に聴く音楽は？ ——— トレッリ：《クリスマス協奏曲》
35. 共感できるヒーロー ——— ベートーヴェン：交響曲第３番《英雄》
36. 「大量破壊兵器」とは何か ——— ストラヴィンスキー《春祭》