著者:中村あやえもん
ページ数:252

¥380¥0

この本は、次のような人のために書きました。

・ 内向的な性格が原因で、周囲や社会にうまくついていけない人
・ 内向的な性格を、強みにしたい人
・ ネガティブで完璧主義な性格を、「なんとかしたい」と悩んでいる人

本書では、このような内向的な性格が原因で、生きづらさを感じている人向けに、その性格を活かした「心地よい生き方」ができる考え方を紹介しています。
なお、本書では「内向的な人が、どう外向的になれるのか」という内容は紹介していません。
「内向性を活かす場を見つける」という側面に絞って、考え方を説明しています。

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■ 外向的な性格と、内向的な性格

私たちは、様々な個性を持っているものです。その中でも特徴的なものとして、「外向的な性格」と「内向的な性格」があります。
これは私の実感ですが、社会では「外向的な性格の人ほどよい」、「内向的な性格はあまりよくない」という雰囲気があるように思います。
そういう周囲の状況もあって、内向的な人ほど「私も明るい性格になりたい」、「うまく人付き合いできるようになりたい」、「多くの友達が欲しい」などと思い、無理に自分を変えようとしているようにも思います。
ですが、そうやって変えようとしても、なかなか自分の性格は変えられないものです。
結果として自分を変えることができずに、「内向的な自分はダメな奴だ」と落ち込んでいるように感じます。

ですが、ここで少し考えてみましょう。
なぜ人は、外向型と内向型という性格の違いを持っているのでしょうか。
もし一方的に外向的な性格の方が優れているのであれば、五〇〇万年という人類の進化の過程で、内向的な性格は淘汰されているのが自然です。
それなのに人間社会では、外向型と内向型の比率がだいたい八:二で構成されています。
ならば、「人間という種を維持する上でも、何らかのメリットがあるから内向的な性格がある」、と考えるのが自然ではないでしょうか。

では、その「内向型の人がいるメリット」とは、いったい何なのでしょうか?

■ なぜ外向型、内向型という違いが生まれるのか

私はこれを、種の発展と繁栄のために、生命がこのような違いを持つようになったのではないかと推測しています。
人間だけではなく、どのような生命にも、このような「外向型と内向型」の違いがある、という発想です。

これは、アリを考えてみると分かりやすいでしょう。
アリは、「近場でエサを探して集団で行動するアリ」と、「遠くまで単独行動をするアリ」がいます。

なぜそのように異なる性質を持っているのかというと、私はこれを、いざという時のリスク対策ではないかと推測しています。
というのも、近場でばかりエサを探していると、何らかの環境変動や自然災害で近場からエサが取れなくなってしまった場合、簡単に絶滅してしまいます。
一方で、遠くにばかりエサを求めていても、問題です。
散り散りになることで個体数が確保できない上に、エサを運びにくくなり、これも絶滅しやすくなってしまいます。
そのため、ある一定数を「近場で種を守り、社会を維持するための個体」に割いて、ある一定数を「単独、もしくは少数で遠くにまで出て、新たに住める環境を見つける個体」に割くわけです。

そのような仕組みを持つことで、種を絶滅から防ぎ、効率的に発展、繁栄してゆくことができると分かります。
すなわち、種を保つために、そのような仕組みが遺伝子として組み込まれているわけですね。

これと同じようなメカニズムが、人間にも組み込まれているのではないか、というのが私の推論です。
すなわち、外向的な人は、近場で社会集団を作り、種の個体数を保つ役割を担っています。この外向的な人のことを、以降では「社会維持型」と呼ぶことにしましょう。
一方で内向的な人は、単独もしくは少数のチームを組織して、遠くまで赴き、新境地を開拓する役割を担っています。この内向的な人のことを、以降では「境地開拓型」と呼ぶことにしましょう。
この「種を保つための役割の違い」が、外向性、内向性という違いを生んでいるのではないか、ということですね。

また、外向的な社会維持型人間と、内向的な境地開拓型人間の比率は、先述したようにおよそ八:二になります。
この八:二という比率によって、少数派である内向的な人が、「みんなはたいてい外向的ですごい」、「自分だけが内向的で変な人だ」と感じるのではないでしょうか。
結果として、社会では少数派である内向型の人が、「私はみんなのようになれない」と苦しむようになるのです。

■ 内向的な人向けの、「心地よく生きる」ための考え方

そのように、本書では外向的な人を「社会維持型」、内向的な人を「境地開拓型」と定義し直すことで、両者の違いを分かりやすく説明します。
また、社会の対極に「境地」があるとして、そのような「境地へ向かう」という発想と、境地へのたどり着き方、そこでの生き方などを紹介します。
それによって、社会では少数派である内向型の人でも、社会と適度な距離感を保ちつつ、心地よく生きる方法を提案しています。

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■ 目次

はじめに
第一章 なぜ外向型、内向型という違いが生まれるのか
  「刺激への感度」で、外向型か内向型かが決まる
  外向型は社会維持に、内向型は境地開拓に適している
  「他者を変える」世界の中で「自分を変える」ことの悲劇 ほか

第二章 社会維持型と境地開拓型の違い
  たまのお祭りよりも、毎日の小さな幸せを大切にしよう
  「みんなのように強くなる」必要はない
  なぜ苦しいことを押しつけられるようになるのか ほか

第三章 境地とは、こういう場所
  境地とは、社会から離れた、同種がいない場所
  こうして境地開拓型が、社会を変えてきた
  なぜ個性を出すことを恥じるようになるのか ほか

第四章 境地に出よう
  好奇心に従うことで、境地に出られる
  境地開拓型が「安定した職」を求めると、もっと苦しくなる
  切り開いた部分を収益にする ほか

第五章 さあ、才能を開花させよう
  我慢をなくして、楽しさを増やそう
  地位や身分を手放し、無名に戻ろう ほか

第六章 適材適所をして、効率化しよう
  境地開拓型の子には、「自由と熱中できること」を与えよう
  なぜ「ゆとり教育」は失敗したのか
  ベーシックインカム制度に潜む問題 ほか

あとがき

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