著者:平山崇
¥1,250¥0

字数:155000字

本書は筆者が中国蘇州大学大学院の修士論文に若干の修正を加えて成った日本語研究書である。
中国人の日本語学習者が効率よく慣用句を学べる方法を明らかにすることを主目的とし、
「舌」、「口」、「声」、「耳」の日本語慣用句と、これらに意味的に対応する中国語単語、連語、慣用句、成語を
認知言語学の観点から比較考察した。
発声器官の「舌」と「口」、生産物の「声」、「声」を聞く器官の「耳」、
というふうに四者は密接な関係で結ばれており、言語表現にも何らかの反映があるはずである。
四者間の言語表現に意味の共通部分があることと、それぞれが固有の意味領域を持っていることは容易に推測されるが、
それが具体的に何であるかを突き止めるために、本論では四者個別の考察、
および全体的な比較考察を行った。
考察にはメタファー、メトニミー、シネクドキのメカニズムに依拠し、イメージ・スキーマや事態認知図の作成にも努めた。
この作業を日本語と中国語でそれぞれ行い、最後に両者を比較し、その共通点と相違点を解明した。

認知言語学では日本語と英語の比較研究は進んでいるようであるが、
日本語と中国語の比較研究はまだ少なく、これから発展が期待される領域である。
本書がこの領域の研究を推し進める幾ばくかの力になれば幸いである。

目 次

まえがき3
第1章 序論6
1.1 先行研究6
1.1.1 日本語教育と中国語教育からの慣用句研究6
1.1.2 日中慣用句の比較研究8
1.1.3 認知言語学による慣用句研究11
1.1.4 先行研究の問題点12
1.2 研究目的、意義と研究方法13
1.3 本論の立場と理論解説18
1.3.1 イメージ・スキーマ18
1.3.2 コア20
1.3.3 メタファー21
1.3.4 メトニミー26
1.3.5 シネクドキ28
1.3.6 参照点構造29
1.3.7 プロトタイプ31
1.3.8 事態認知33
1.4 両言語の対応関係と語の種類、慣用句の定義34
第2章 舌42
2.1 発話に関する慣用句42
2.2 その他の慣用句53
2.3 日本語の慣用句と中国語表現の比較57
第3章 口61
3.1 発話の有無に関する慣用句62
3.2 発話量に関する慣用句81
3.3 話術に関する慣用句98
3.4 マイナス評価の慣用句112
3.5 同調の慣用句136
3.6 その他の慣用句144
3.7 日本語の慣用句と中国語表現の比較155
第4章 声180
4.1 感情に関する慣用句180
4.2 積極的な発話に関する慣用句192
4.3 声の状態、その他の慣用句202
4.4 日本語の慣用句と中国語表現の比較214
第5章 耳219
5.1 話への嫌悪感・意外感を示す慣用句219
5.2 聞くことの慣用句229
5.3 聞く態度、その他の慣用句248
5.4 日本語の慣用句と中国語表現の比較263
第6章 結論268
6.1 「舌」「口」「声」「耳」の意味分担268
6.1.1 日本語268
6.1.2 中国語277
6.1.3 日中比較277
6.2 まとめと今後の課題281

参考文献282
索 引289

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