著者:笠間 杲雄
ページ数:39

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 「達磨大師によって伝えられた禅というものが、日本の武士道というものに哲学的イデオロギーを与えたということが事実であるとするならば、その淵源はペルシア思想であるわけであります。」(古代中国の記録によれば、達磨はペルシア人だったとされる。)
 戦前の日本を代表するイスラム圏の専門家であり、ペルシア(イラン)公使をつとめた笠間 杲雄(かさま あきお)が、ペルシアがイランと改称する直前に行った講演録。古代から近代までのイランの文化を軸に、東西の壮大な文化交流を語るとともに、実体験も交えながらイギリス、ロシアの利権争いの舞台となって苦悩する中東の近代史にも触れる。七○年代、NHKの「シルクロード」などでロマンチックなあこがれをかきたてられたのも束の間、「イラン・イスラム革命」の陰にかくれてかすんでしまったペルシア・イラン文化の全体像を見通す。併載した『ペルシア・イラン小史』では、現代日本人が最低限知っておくべきイラン史の常識をまとめ、理解の便をはかった。

 結婚初夜の晩、「花婿は部屋に入って、花嫁の側に座を占め、嫁の右脚を婿の左脚の上に、右手を婿の手の上にのせて、女が上手に出ることを示すのが必要である。このとき婿は・・・」
 併載した笠間のエッセイ『イスラム教徒の女性生活』は、現代においてさえあまり知られていないムスリム女性の生活について、特にイランとトルコの習慣や伝統を中心に紹介したもの。ハーレムの真の意味や恋愛、結婚について偏見なく語った貴重な記録である。

 編集にあたっては、「マホメット」を「ムハンマド」、「コーラン」を「クルアーン」とするなど用語を現代的な表記に直し、さらに注釈を加え、統計数字などは現代のものを併記するなどして、イラン・ペルシア文化、イスラム文化の入門書として現代人の読書に耐え得るものとした。
 イスラム教、イスラム圏、シーア派などについて関心のある方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。(表紙写真: Mira Pavlakovic)

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