著者:広川, 智理
ページ数:60

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 ITの導入においては、その要件定義を自社で行う場合と外部のベンダー(SIベンダー企業)等に委託する場合がありますが、不十分な要件定義やミスによる失敗が後を絶ちません。発注者と受注者であるベンダーとの間で訴訟になるケースも少なくありません。要件定義の失敗の原因の多くは、ITを求めている本人ではなく、IT部門あるいは情報システム子会社の人材、ベンダーの人材が本人の代わりに要件を聞いて文書化していることにあります。

 本人の頭の中にある要件をすべて漏れなく話してもらうことは非常に困難ですし、本人自身も要件を明確にできていないこともあるでしょう。そうした場合には、会話を通して要件の明確化の手伝いもしなければなりませんし、気付いていないことを引っ張り出す手伝いも必要です。そこに求められるのが「質問力」です。そして最初に答えを書いてしまいますが、「質問力=人間力」なのです。あなたも同じことを嫌いな人から聞かれた場合と、好きな人から聞かれた場合では答え方が違ってしまいませんか。好きになられた方が得なのです。

 また、私はあちこちで「あんぱん」の話を書いていますが、いまの多くのSE(Systems Engineer)の方たちは、お客様が「あんぱんが欲しい」と言うと、そのまま近くのコンビニに飛び込んで、目に入ったあんぱんを買ってきてしまうのです。もしあなたがお客様に高い関心をもっていたら、「どんなあんぱんが宜しいですか?」と聞くでしょう。また、「いくつ」「いつ」も聞くでしょうし、「お茶も買ってきましょうか」と追加質問するでしょう。

 こうした質問をするかどうかで、買ってきたあんぱんに対するお客様の満足度が大きく違ってくると思いませんか。コンビニで目について買ったあんぱんがお客様の気に入らず、買い直し(仕様変更?)、買い足し(仕様追加?)をしなければならなくなるかもしれません。そのSEの方にしてみれば「言われた通り(仕様通り)」に買ってきたということでしょうが、相手にしてみれば「聞くのが当たり前だろう」なのです。

 この本では、質問のテクニックについては一切書いていません。相手から少しでも多くの情報を引き出すための準備と相手を話しやすくする方法について書きました。ですから、要件定義をする方を主な対象にはしましたが、それには関係なく「新入社員」の方や「営業」の方、「一般」の方にも参考にして頂ける内容になっていると思います。ぜひ皆さんに質問力を高めて頂いて、より良いコミュニケーション、より良い人間関係を構築できるようになって頂ければと思います。

<目次>
はじめに
1. 質問力を高めるための手順
2. ヒアリングを高度化するための「日常の学習」
2.1 ビジネス関連一般知識の修得
2.2 共通業務一般知識の修得
3. ヒアリングを成功させるための「下地作り」
3.1 お客様の事業概要の理解
3.2 お客様との一層の信頼関係作り
3.3 プロジェクトに対するより深い理解
4. ヒアリングの実施
4.1 ヒアリングの準備
4.1.1 体制作り
4.1.2 ヒアリング相手の選定
4.1.3 ヒアリング実施者の決定
4.1.4 ヒアリング実施方法の決定
4.1.5 「質問」の作成
4.1.6 ヒアリング実施詳細計画の策定
4.2 ヒアリングの実施
4.2.1 「場」の温め
4.2.2 質問の開始
4.2.3 信頼の獲得
4.2.4 話を聞く
4.2.5 話を深める
4.2.6 ヒアリングの振り返り
おわりに
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