著者:外山恭一
ページ数:495
¥700 → ¥0
いよいよ「サラリーマン存在」三連作が、Kindle版で上梓する『土着的サラリーマン群像 桶谷秀昭が視た保田与重郎の彼方へ』で完結しました。
三年かけて、年一冊ずつ、吉本隆明の思想を純化させた「吉本イズム」、竹中労が生涯の発露としてあった《自由》、桶谷秀昭が心酔していった保田与重郎の本質たる《土着》を、それぞれ一冊のテーマとし、日本民衆のマジョリティー・サラリーマンが、何に依拠して、江戸時代の農民層に取って代わったような広大な階層を形成するに到ったかを長々と説き明かしてきました。更にその土台を、「吉本イズム」、《自由》、《土着》で強化した上で、これからの21世紀を、人口の90%を占めるというサラリーマン個人々々が、どのように歩んでゆけば良いかも、能動的な活動を通した展開として提示させていただきました。
この三連作のなかで最も創作に困難を極めたのは、やはり今回出版に到った『土着的サラリーマン群像 桶谷秀昭が視た保田与重郎の彼方へ』でした。それは過去の二作と較べて、《土着》を中核に据えると、峠を挟んで絶えず天使の側面と悪魔の側面が現われるからです。言い換えると、書く側は「天使と悪魔の両面」を肌身離さず自覚しながら表現していかねばならない、それを失念してしまうと、極端な言い方をすれば、戦争推進、排外主義に繋がってしまう。まさに保田与重郎を発掘していった桶谷秀昭もそうなってしまったし、戦争イデオローグと非難され続けてきた保田与重郎自身に、ノホホンと没入してしまえば、戦争賛美と土着的歴史哲学との区別がつかないまま、20世紀のゴミ箱に放擲する以外の道筋がつかなくなってしまったはずだからです。
眼に見えぬ西暦2001年の壁は、思想的には相当分厚いと云わねばなりません。大東亜戦争を経験してきた思索者にとって、21世紀になっても世間に適用できる思想展開が計れるのは稀であるのを確認してしまったし、戦後昭和と平成の毒気は、「戦中派」思索者をおおいに汚染していたのも確認しました。そもそも、保田与重郎自体が、歴史哲学で日本の本性を明確にした彼方で、戦争賛美の「宗教」を垂れ流すという、何かしら峠から天使の側でなく悪魔の側に崩れてしまった場合の21世紀後半を予兆するかのような存在でした。此処に第三作目の基本構想があります。日本の土着を掘り続けていた保田与重郎を如何に「天使の側」に誘導するか⁉
戦後、健全な「土着」を包摂し続けた、サラリーマン層が、21世紀後半へと、如何に健康的な土着を発現し続けることが出来るか、が本作で主張し続けたことでした。そして、21世紀が終わっても「国を開くこと、世界に貢献すること」が可能な世界になるように、吉本隆明の遺言が叶う世界を願って止みません。そこにどしどし繰り出してくる若きサラリーマン層が、自己の「サラリーマン存在」を問い続けながら、積極的に関与(コミットメント)することで、自己および世界の中の日本の存在感を増していってもらいたいとも願っています。
三年かけて、年一冊ずつ、吉本隆明の思想を純化させた「吉本イズム」、竹中労が生涯の発露としてあった《自由》、桶谷秀昭が心酔していった保田与重郎の本質たる《土着》を、それぞれ一冊のテーマとし、日本民衆のマジョリティー・サラリーマンが、何に依拠して、江戸時代の農民層に取って代わったような広大な階層を形成するに到ったかを長々と説き明かしてきました。更にその土台を、「吉本イズム」、《自由》、《土着》で強化した上で、これからの21世紀を、人口の90%を占めるというサラリーマン個人々々が、どのように歩んでゆけば良いかも、能動的な活動を通した展開として提示させていただきました。
この三連作のなかで最も創作に困難を極めたのは、やはり今回出版に到った『土着的サラリーマン群像 桶谷秀昭が視た保田与重郎の彼方へ』でした。それは過去の二作と較べて、《土着》を中核に据えると、峠を挟んで絶えず天使の側面と悪魔の側面が現われるからです。言い換えると、書く側は「天使と悪魔の両面」を肌身離さず自覚しながら表現していかねばならない、それを失念してしまうと、極端な言い方をすれば、戦争推進、排外主義に繋がってしまう。まさに保田与重郎を発掘していった桶谷秀昭もそうなってしまったし、戦争イデオローグと非難され続けてきた保田与重郎自身に、ノホホンと没入してしまえば、戦争賛美と土着的歴史哲学との区別がつかないまま、20世紀のゴミ箱に放擲する以外の道筋がつかなくなってしまったはずだからです。
眼に見えぬ西暦2001年の壁は、思想的には相当分厚いと云わねばなりません。大東亜戦争を経験してきた思索者にとって、21世紀になっても世間に適用できる思想展開が計れるのは稀であるのを確認してしまったし、戦後昭和と平成の毒気は、「戦中派」思索者をおおいに汚染していたのも確認しました。そもそも、保田与重郎自体が、歴史哲学で日本の本性を明確にした彼方で、戦争賛美の「宗教」を垂れ流すという、何かしら峠から天使の側でなく悪魔の側に崩れてしまった場合の21世紀後半を予兆するかのような存在でした。此処に第三作目の基本構想があります。日本の土着を掘り続けていた保田与重郎を如何に「天使の側」に誘導するか⁉
戦後、健全な「土着」を包摂し続けた、サラリーマン層が、21世紀後半へと、如何に健康的な土着を発現し続けることが出来るか、が本作で主張し続けたことでした。そして、21世紀が終わっても「国を開くこと、世界に貢献すること」が可能な世界になるように、吉本隆明の遺言が叶う世界を願って止みません。そこにどしどし繰り出してくる若きサラリーマン層が、自己の「サラリーマン存在」を問い続けながら、積極的に関与(コミットメント)することで、自己および世界の中の日本の存在感を増していってもらいたいとも願っています。
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