著者:マーティン・ルーサー
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どうすれば平安の境地(涅槃)に到達できるのか。
ブッダは最古の聖典「スッタニパータ」の中で、この問いに明確に答えています。
“akincanam anadanam etam dipam anaparam, nibbanam.”
(無所有と無執着の状態、これが平安の境地(涅槃)である、この世からの避難場所である。)

どうすれば執着を捨てられるのか。
ブッダはこの問いにも答えます。
“vinnanassa nirodhena etth’ etam uparujjhati.”
(五感による認識をやめれば、名まえと形ある物は破壊される。)

そしてブッダは言います。
“Mata yatha niyam puttam ayusa ekaputtam anurakkhe, evam pi sabbabhutesu manasam bhavaye aparimanam.”
(我が子を守る母親のように、すべての生き物に対して無量の慈しみの心を持つべし。)

すべての生き物がお互いに慈しみ合っている世界を想像してみてください。
人間関係のことで悩む人は、そこにはいないでしょう。
イライラする人もいないでしょう。
ストレスに押し潰される人もいないでしょう。
ブッダはそのような世界の到来を願っていたのです。

最古の聖典「スッタニパータ」を読むと、ときどき驚くようなブッダの言葉を目にします。
“so ce mukharajatiko vihesabhirato mago, jivitan tassa papiyo, rajam vaddheti attano.”
(おしゃべりでうるさく、人をイラつかせるのを喜ぶ獣のような修行僧は、自分の塵汚れを増すことになる。)
ひょっとしたらブッダも人間関係のことでストレスを感じることがあったのかもしれません。

最古の聖典「スッタニパータ」の中では、ブッダは人間なのです。
たまに神通力を使う超人ブッダが出てきますが、基本的にはブッダは人間として私たちに教えを授けてくれます。
スッタニパータを読むと、ブッダの教えだけではなく彼の人としての意外な一面も知ることができるのです。

本書にはパーリ語原文の和訳と解説を掲載していますが、全文の和訳は載せていません。
重要な教えに焦点を当てて、わかりやすい翻訳と解説を心がけました。

【スッタニパータとは】
ブッダの死後に数多く作られた経典の中で最古のものとされているのがスッタニパータです。二千数百年前に作られた経典です。当初はマガダ語で書かれていましたが、のちにパーリ語版とサンスクリット版が作られました。サンスクリット版は古代中国に伝わりましたが、なぜか全5章のうち1つだけ(第4章)が漢訳され、漢訳大蔵経に収められました。そのためスッタニパータは中国にも日本にも全く影響を与えませんでした。最澄も空海も、法然も親鸞も、この聖典の内容を知らなかったでしょう。スッタニパータ全文の翻訳が日本で初めて出版されたのは昭和に入ってからのことでした。

【著者について】
マーティン・ルーサー(Martin Luther)
東京大学法学部卒業。
パーリ語仏教典の研究者。
好きなものは日本の顔文字、バーベキュー。
最近日本でついたニックネームは「杉政たつくり君」(=おせち料理の田作りに由来)

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