著者:山﨑白露
¥300¥0

戦国の女や子どもたちは、ただ銃後で泣き惑っていたばかりではない。
『おあむ物語』のおあんは、鉄砲の玉を鋳、死人の首にお歯黒を塗り、懸命に働いた。そして、必死に親に付いて城から脱け出た。
また、『おきく物語』のお菊は、炎上する大坂城から、誰にも頼らず一人で脱出を試みる。帷子と下帯を重ね着し、完全防備して。
戦国の女の子はかくも健気だった。だから、この現代語訳の副題には、あえて『戦国女子の落城記』と付けた。

『おあむ物語』より
「首もこわいものではあらない。その首どもの血くさき中に寝たことでおじゃった」
「さてさて、むごい事を見ておじゃったのう」
「今時の若衆は、衣類ものずき、こころをつくし、金をついやし、食物にいろいろのこのみ事めされる。沙汰の限りなこと」

『おきく物語』より
「竹束の陰より、ひとえ物一つ着たる者、さび刀を抜き持ちて来たり、『金にてもあらば出せよ』というにより」
「鉄砲いづかたやらからまいり、女中うちぬかれ」
「菊、落城のとき二十歳」

次に、『続雑兵物語』は、江戸後期に成立したもので、「火矢打の矢六」、「鉄砲足軽の鉄内」、「炮烙打の炮六」といった、三名の火術の専門家の話からなる。雑兵の見聞談や経験論を雑兵自身が話していくという、『雑兵物語』の形式を踏襲したものである。『雑兵物語』同様、いわゆる「べいべい言葉」と呼ばれる雑兵の語り口に面白さがある。
『続雑兵物語』より
「異国船というものは船の拵えが広大堅実だに因って中々ちょっか事では打砕くべい様もない」
「或人の火器の用い方を論じて、頼って頼らずと云うことが秘事だと云れたが、なる程尤もなこんだと思い申す」
「何事も当時の武士は多く夢中狂言ばかりして居り申すから笑止に思い申す」

シリーズ一覧

  • 同シリーズの電子書籍はありませんでした。

 

  Kindle Unlimitedは、現在30日間無料体験キャンペーンを行っています!

この期間中は料金が980円→0円となるため、この記事で紹介している電子書籍は、すべてこのKindle Unlimited無料体験で読むことが可能です。

Kindle Unlimited 無料体験に登録する