著者:芦原 伸
ページ数:328
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旅をライフワークとして 40年以上。
本書は、紀行作家であり旅行ジャーナリストでもある著者が、北は北海道・オホーツク海沿岸から南は沖縄・久高島、
さらにカナダ、北太平洋北東部のハイダグワイ島をめぐった“17 の辺境の旅”の取材をまとめたものです。
各地で見聞きした、それぞれの土地土地に生きる人々の知恵、“教え”が記されています。
絶滅した二ホンオオカミの足跡を追って奈良・大台ヶ原へ。
かつて鯨漁で栄えた五島列島へ。
旅を続けるなかで著者は、果たして文明は人間を幸福にしたのだろうかと疑問を投げかけます。
――辺境では現代社会の「快適」「清潔」「安全」のルールは保障されない。
むしろ「不便」「不潔」「危険」を覚悟しなければならない時もあるだろう。
その代わり、そこには清澄な空気、大きな空、森の限りない静けさがある。
辺境の古代人は神の怒りを恐れた。洪水、火災、地震は神の怒りだった。
それゆえ神々から与えられた多様性社会を尊び、森林を守り、野生動物との共存を図った。
同時に祖先の霊を敬った。この本でまとめたものは、そうした“辺境からの声”である。
――と著者は語りかけます。
森に寄り添い、海を糧とする人たちの生きる知恵であり、日本人の根底にもある森羅万象に宿る“八百万の神”を敬うという多様な観念は、デジタル社会に生きる私たちが今こそ、その声に耳を傾ける時代かもしれません。
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