著者:鈴木タケシ
ページ数:87
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このままでよいのだろうか?
大手企業京滋電機に勤める生産技術エンジニアの中山祐一はこんなことを考えながら毎日の仕事をこなしていた。仕事に大きな不満があるわけでもなく、今の職場がそこまで嫌いでもなかった。仕事ぶりは優秀で語学もできる、世間平均から考えても彼のポテンシャルは重宝されるものだった。社内の他の人間と比較しても、まわりからエースと期待されていた。
大手企業京滋電機に勤める生産技術エンジニアの中山祐一はこんなことを考えながら毎日の仕事をこなしていた。仕事に大きな不満があるわけでもなく、今の職場がそこまで嫌いでもなかった。仕事ぶりは優秀で語学もできる、世間平均から考えても彼のポテンシャルは重宝されるものだった。社内の他の人間と比較しても、まわりからエースと期待されていた。
会社は関西に拠点を置く部品メーカーで自動車向けの部品を製造していた。創業四十年でオーナー社長が現役で経営するワンマン企業だった。一代で会社規模を拡大したおかげでメディアからの取材も多く、業界では有名人だった。中山が入社した当時は、いまでいうブラック企業の環境で、ひたすら仕事をすることが当然の会社だった。家電向けの部品製造が主流だったが、自動車向けの部品製造にも徐々に事業を拡大していた。自動車向けの事業部の歴史は短くまだ十五年程度で、中山が入社した十年前はまだ規模も小さく事業部全体でも百名程度で生産拠点も中国の一拠点だけだった。それが今では車載事業部だけで年間二千億円の売り上げをたたき出し、海外工場も欧州、北米、インド、中国とグローバルに拡大していて、他の事業部を含めた会社全体の売り上げ規模も一兆円に拡大していた。昨今の日本企業でこれほどまでに拡大している企業は珍しく、世間的に見れば優良企業に勤めるサラリーマンだった。
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