著者:S・S・ヴァン・ダイン
ページ数:274

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ガーデン殺人事件で受けた心の傷を癒すためにエジプトへと旅立ち、三箇月後に帰国したファイロ・ヴァンスを待っていたのは、KKK団の大立者ケンティングが建てた《むらさき館》から道楽息子カスパーが忽然と消えた事件だった。身代金要求の脅迫状が見つかり営利誘拐の様相を呈していたが、要求額は借金苦にあえぐカスパーが無心していた金額と同じであり、直前まで自室にいて争う物音がなかったことから家族たちは狂言誘拐を疑う。しかし現場をひとめ見たヴァンスは「あいつはもう死んでると思うよ」とつぶやくのだった。やがて身代金受け渡しを知らせる第二の脅迫状がとどき、警察は万全の態勢で待ちうけるが、事件は意外な展開をみせて俄に混迷の度合いを深めていく。綿密な計画性のウラに暗黒社会が見え隠れする犯罪を描いて新生面を切り拓いた、作者晩年の意欲作の新訳決定版。

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