著者:アポワンティ フード&サイエンス出版部
ページ数:152
¥1,230 → ¥0
本書は橋本病・甲状腺機能低下症の方のために、色分けによって必要な栄養素や食事バランスが一目で分かる「橋本病の色分け栄養バランスプレート」食事療法をご提案するものです。本書を用いることで、「橋本病」の食事のための難しい栄養計算を行わなくとも、バランスの良い食事を実現することができます。慢性甲状腺炎による橋本病、甲状腺摘出に伴う甲状腺機能低下症のいずれの方にもご活用頂けます。以下、本書ではいずれの方も「橋本病」と記しております。
橋本病を発症すると基礎代謝が低下します。それに伴い、体重の増加や栄養の吸収や利用効率も低下してしまいます。橋本病によって体重が増加し、減量を試みて食事量を減らしていらっしゃる方も見られます。中には食欲の低下によって食事量が減ってしまっている方もいらっしゃいます。いずれのケースにおいても、食事量を減らすと栄養欠乏症に直面します。
限られた食事量の中でビタミンやミネラル等の必要量を満たしていくのは非常に困難です。食事量を減らすと栄養が不足し、さらに基礎代謝の低下を招くと言う悪循環を繰り返してしまいます。この悪循環は橋本病の治療そのものに悪影響を与え、甲状腺ホルモン薬の内服量の増加につながる恐れがあります。この様な状況下では、体重はいつまでたっても減ることはありません。むしろ、努力したつもりになればなる程、太ってしまう恐れすらあるでしょう。また、栄養不足によって多くの不調を抱えることになり、日常生活がますます辛いものになってしまいます。
橋本病による体重の増加は一般的に2~5kg程です。それにも関わらず、甲状腺ホルモン薬を内服しても自然な減量が見られない方が多くいらっしゃいます。この多くは自己流や一般的なダイエット法に身を任せた食事療法の失敗です。橋本病により栄養の得意不得意が生じるため、通常のバランスの良い食事では、橋本病の方にとっては栄養が不足しやすい食事なってしまいます。また、ケトジェニックダイエットの様な厳しい糖質制限や断食、マクロビオティック等の食事療法は筋肉を消耗させ、除脂肪体重を増加させることで、ますます減量が困難になってしまう恐れがあります。過剰な野菜や大豆製品の摂取も甲状腺機能低下を進める恐れがあります。女性向けと言われる食品や減量法が橋本病だけでなく女性にとって良いとは限らないのです。
特に、植物性食品を中心とした食事療法は危険です。サラダや温野菜だけの食事や大豆・豆乳食、マクロビオティックといった食事療法を続けることで、一時的には野菜に含まれる水溶性ビタミンを多く摂取することで体調が良くなったように感じるかもしれませんが、中・長期的には栄養欠乏症や過剰摂取、基礎代謝の低下のリスクの方がはるかに大きいでしょう。中・長期的な栄養欠乏症は取り返しのつかない健康リスクを伴いますので、イメージだけで食事療法を選ぶことはやめましょう。
本書でご紹介する「色分け栄養バランスプレート」は、食事から摂取する栄養のバランスを整えることで、栄養の吸収・利用効率をアップさせ、代謝を円滑に進めることを第一の目的としています。食事療法と内服治療を並行して行うことで、肥満や脂質異常症の解消がよりスムーズになるでしょう。また、橋本病の方にとって特に栄養吸収・利用効率力の低下しやすい脂溶性ビタミンやミネラルの強化を図り、貧血や冷え性等の不調の緩和が期待できます。
食事の栄養バランスを整えることは、カロリーを控えることよりも身体にとって、はるかに意味があります。「色分け栄養バランスプレート」を用いて必要な栄養素をセットで覚えることで、食事量が増えても減っても、栄養バランスが崩れることはありません。また、複雑なカロリー計算を覚える必要もないので、外食時にも簡単に栄養バランスを調整することができます。不調を感じたら、色分け栄養バランスプレートや本書の不調改善に役立つ栄養素に照らし合わせながら食生活を振り返り、不調緩和のための対策を立てることができます。
橋本病は代謝と免疫に関わる全身の症状を伴う内分泌疾患であり、「色分け栄養バランスプレート」で簡単に実現できる栄養摂取は、とても複雑な栄養計算に基づいています。橋本病と栄養の関係について、しっかり知りたい方のためにも、本書では基本的な栄養素の作用についても解説しています。
甲状腺ホルモン薬の服用による治療は長期に渡ります。そして、食生活が甲状腺や甲状腺ホルモンに与える影響は生涯続きます。皆さまお一人お一人がご自身の体調と向かい合いながら、食事療法によって身体を整えていけるようになって欲しいと願っています。
Acco MUKAWA 略歴:
管理栄養士(日本)健康指導学・健康促進学修士(フランス国立大学大学院)
最新の予防医学や健康科学、栄養学に基づき、スタイリッシュな現代食と健康を両立させる食の提案やメニュー開発を行っている。特に、内分泌系疾患に関する食事療法を総合的な臨床栄養学の見地から提唱している。
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