著者:三池 輝久
ページ数:217
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引きこもり・不登校は心の問題ではなく、医学の問題である。
本書は、医師として長年にわたり医学的なデータを集積し、若者たちの脳の機能に異変が生じていることへの警鐘を鳴らしてきた著者が、現代の教育システムによって引き起こされる「命とこころの脳」衰退という一刻の猶予もない問題に対して、不安を抑制するための議論ではなく、実効性のある子どもたちのための「処方箋」を提示するべく書かれたものである。
知識偏重の教育、過剰な部活動、人知れず犠牲となる子どもたちは今も生まれ続けている。
もはや「知らない」では済まされない、日本人必読の書である。
[目次]
序に代えて
「不登校と社会的時差ぼけ」
「不登校と慢性疲労症候群=社会的時差ぼけ」
「不登校・ひきこもり・絶望」
「不登校・ひきこもりの発症経過表」
「不登校から引きこもりへの道筋」
ほか
はじめに
第一章 子どもたちの脳は変化している
変化する子どもの脳
抑制される扁桃体と前頭葉
そのとき子どもにおこること
心因性発作はどう治すか
生き生きと生きる脳の抑制
ほか
第二章 子どもたちの脳は疲れはてている
心身症は疲れから
日常生活での若者たちのストレス
不登校は小児型慢性疲労症候群
不登校は脳の病的疲労状態
不定愁訴から疲労ははじまる
ほか
第三章「親が悪い」的子育て論はまちがい
家庭崩壊と若者たちの居場所
家庭環境とこころの発達
幼少期に大切なシナプスの発育
生き生きと生きる脳
親と子の絆が生きる力をつくる
ほか
第四章 子どもたちよ! 学校を捨てよう!
不安感は落ち着きをなくさせる
教師が解決できる学級崩壊
教師が解決できない学級崩壊
自由保育はダメというウソ
協調性の強要は協調性をなくす
ほか
第五章 少年犯罪は、「蝕(むしば)まれた脳」がおこした
少年法改正議論について
犯罪少年にみられる脳機能異常
自分勝手ではないのですか?
黒磯事件
キレるということ
ほか
第六章 子どもを救ういくつかの方法
再び慢性疲労症候群の背景
保護者ならびに学校関係者各位殿
学校を捨てる
慢性疲労への医学的対応
教育カリキュラム開発
ほか
あとがき──大人の教育が、子どもの脳を蝕む
大人たちの無意識の虐待
仮面を脱ぐ子どもたち
本当のコミュニケーションとは
生きる力と学力
魅力のない日本の大人たち
ほか
著者略歴
[出版社からのコメント]
近年、内閣府が発表した中高年を対象とした調査データが話題となりましたが、「理想の大人を見つけることができない社会」は子どもたちだけではない、非常に深刻な問題です。こころを失った大人たちが子どもにこころを伝えることができないのだとすれば、教育制度をいくら議論しても子どもたちの現状は変わらないでしょう。
子どもたちの成長は止めることができません。私たち大人が身を切る覚悟で社会や行動を変える意識を持つためにも、本書が多くの方に読まれることを願います。
【著者プロフィール】
三池 輝久(みいけ・てるひさ)
1942年熊本県生まれ。1968年、熊本大学医学部卒業。米国ウェストヴァージニア州立大学留学を経て、1984年熊本大学医学部小児発達学教授、その後、東京大学教育学部教授(併任)、熊本大学附属病院長、日本小児神経学会理事長、兵庫県立子どもの睡眠と発達医療センター長、日本発達神経科学学会理事長、などを経て現在は、熊本大学名誉教授、日本眠育推進協議会理事長を務める。小児科医。
専門は小児神経・筋疾患、睡眠障害、発達障害など。
著書には
『学校過労死』(診断と治療社)
『フクロウ症候群を克服する』(講談社健康ライブラリー)
『学校を捨ててみよう』(講談社)
『不登校外来』(診断と治療社)
『子どもとねむり』(メディアイランド)
『子どもの夜ふかし脳への脅威』(集英社新書)などがある。
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