著者:二橋 玲
ページ数:22

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 中華圏で長く広く愛されてきた物語とは何か。繰り返しドラマ化される物語とはどんなものか。それについて考えてみたくなり書き始めた。
 この物語はざっと調べただけでも1958年の映画化を初めとし1976年1983年1988年1994年2003年2008年2017年(注1)に長編ドラマ化されている。それはきっと『三国志』でしょう?と日本の方には思われるだろう。残念、ハズレである。確かに『三国志』は映画化ドラマ化アニメ化と高い人気を維持し続けている。が、他にも、日本ではあまり馴染みがないのに中華圏で絶大な人気を誇る物語があるのだ。それは金庸の作品群である。
今回は中でも『射鵰英雄伝』について2017年版ドラマを参考にしてその魅力について考えてみたい。日本の新旧の人気ものとの比較検討もまじえて中華圏で長く広く愛される理由は何なのか探っていきたい。

 ちなみに『庶民が長く愛してきたのはおバカと奇人変人、それと花子の物語!?』と副題に書いた。花子とはもちろん日本の花子さんのことではない。そもそも中国語で花子は女性名ではない。乞食のことである。乞丐とも言う。
 ドラマを見ればすぐわかるがこれは全編を通じ画面に乞食のあふれるドラマである。小説で読むよりも、この点はドラマで観た方が明らかに印象に残ると思われる。このドラマで乞食は、歴史書に基づくような王朝交代を中心としたドラマとは異なり、朝廷の貧民救済のシーンにのみ現れる背景やエピソードの一つではない。可哀想でもない。中心をなす。

 中国ドラマに限らず、海外ドラマを楽しむことは、日本的なアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)から自らを解き放ち、自由にしてくれる作用があると筆者は思うが、皆さんはどうだろうか。

目次

射鵰英雄伝 2017年版ドラマのあらすじ

奇人変人花子百花繚乱の江湖

庶民が長く愛してきたのはバカと乞食!?

赤穂浪士と鬼滅の刃と射鵰英雄伝の仇討ち比べ

金庸その人

父権主義vs天真爛漫

過剰な物語のおわりに

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