著者:杉山 秀子
ページ数:80

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 この小冊子は、最初に二〇世紀末のロシア文学の中のヒロインの紹介からはじまり、逆に時間をタイムスリップさせて百数十年前のヒロインの紹介に言及する。この逆照射により、ロシア文学の華といわれる一九世紀文学の特異性と卓越性が浮き彫りにされる。
 まず二〇世紀末から二一世紀にかけての女流文学だが、まだまだこれから発展する可能性を秘めている。トルスターヤのチェーホフを凌駕しようとする意欲は大いに買いたい。ポスト・モダニズムの皮袋を借りて実験小説を試みたという段階だ。それにひきかえ、この小説のネタになったチェーホフの『可愛い女』の簡潔な中に光る風刺性は抜群といえる。チェーホフは時代の転換点にさしかかった女性像を、実在の自分の妻の姿を脳裡におきながら描写することにより、かえってその対比を鮮明に描きだしている。(はじめにから)

【著者プロフィール】
杉山 秀子(すぎやま・ひでこ)
駒澤大学教授。ロシア文学・ロシア地域研究。
早稲田大学大学院露文学修士。
著書に『コロンタイと日本』(新樹社)、『もう一つの革命―アレクサンドラ・コロンタイ《その事業》』(学陽書房)

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